カスタマーサクセスの重要指標「ヘルススコア」とは?メリットや主な指標を解説
自社サービスを使って顧客のビジネスにとっての成功に繋げられることがカスタマーサクセスの使命です。フォローアップなどを通じてサポートはおこなうものの、顧客によってうまく使えている人、うまく使えていない人のグラデーションが発生します。
顧客の状況、状態に合わせた支援ができることが、最も顧客にとって価値のあることです。しかし、顧客の状態を把握することは簡単ではありません。それではカスタマーサクセスではどのように顧客の状態を把握しているのでしょうか?
その答えが「ヘルススコア」です。この記事ではヘルススコアについて、どのようなものなのか、メリット、導入手順などを解説します。
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目次[非表示]
- 1.ヘルススコアとは?
- 2.ヘルススコアの重要性
- 3.ヘルススコアを導入するメリット
- 4.ヘルススコアとして利用する要素
- 4.1.顧客の満足度
- 4.2.製品の機能やログインなどの利用情報
- 4.3.コミュニケーション
- 5.ヘルススコアを導入・運用する手順 5ステップ
- 5.1.① 顧客の状態を定義、診断する
- 5.2.② ヘルススコアとする要素を決める
- 5.3.③ ヘルススコアの算出方法を決める
- 5.4.④ ヘルススコアに応じた対応を決める
- 5.5.⑤ 定期的にヘルススコアとアクションを見直す
- 6.まとめ
ヘルススコアとは?
ヘルススコアは顧客が自社のサービスの利用状況や継続利用をしてくれるかを数値化した指標です。健康状態に例えているもので、ヘルススコアが高ければ健康で寿命が長い、つまり継続利用してもらいやすい状態と言えます。一方でヘルススコアが低い場合は寿命が短く、健康に何らかの問題を抱えている(病気のような)状態であり、サービスに対して不満や問題を感じている状態です。
なお、ヘルススコアが良い数値の状態はカスタマーサクセスが機能している証拠でもあります。そのため、カスタマーサクセスの良し悪しを判断する要素にもなります。
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ヘルススコアの重要性
従来、サービスや商品は購入してもらうところがゴールでした。しかし、サブスクリプションモデルの提供方式が増えたため、購入・契約してもらうことはスタートに変わりました。そのため、継続利用してくれて、LTVが向上していくことがビジネスの成功に繋がるようになりました。
そのため、カスタマーサクセスが必要とされています。ヘルススコアは顧客が継続利用してくれるかを数値化したものであるため、「ヘルススコアが良い顧客を増やす=ビジネスを成功に導く」ことになります。
また、ヘルススコアが低い顧客に対しては、解約されてしまう前にアクションを取ることができ、継続利用をしてもらえる確率を上げていけます。なお、顧客によっては、ツールなどの人を介さないサポートを好む場合やあえて利益率の低いヘルススコアの低い顧客には対応しないなどのサポートをおこなうかどうかの線引をしやすくなります。
ヘルススコアを導入するメリット
ヘルススコアを導入するメリットを解説します。
① アップセル、クロスセルのタイミングをつかめる
上位プランの提案(アップセル)やオプションや別製品の提案(クロスセル)はすでに自社サービスに滿足している顧客におこなうことが成約率が高まるため、良い手段となります。「すでに自社サービスに滿足している」かどうかを判断する指標がヘルススコアであるため、ヘルススコアの高い顧客へアプローチするといった判断ができるようになります。
② 顧客に合わせて最善の対応ができる
顧客によって、ビジネス利用できているか、できている上で満足度が高いのか、低いのかなど、状況が異なります。ヘルススコアを定義することで、顧客の状況に合わせた最善の対応ができます。
例えば、ヘルススコアの低い顧客に対しては、カスタマーサクセスが電話などで接触を図り、うまくおこなっていないことや不満をヒアリングし、必要なアクションを取ることができます。
ヘルススコアとして利用する要素
ヘルススコアで主に利用されている要素を解説します。
顧客の満足度
自社サービスに対して、顧客が満足しているかどうかがLTVに直結する要素となります。目に見える物理的な数値も重要な要素になりますが、心理面が大きく影響します。主に以下の指標が使われます。
● ネットプロモータースコア |
● 顧客満足度(CAST) |
● 「お客様の声」「事例紹介」への協力 |
● 顧客努力指標 (CES) |
● 目標達成率(GCR) |
製品の機能やログインなどの利用情報
次に機能の利用状況やログイン頻度などのサービスをどの程度利用しているかの情報があります。例えば、以下のような指標があります。
● ログイン人数、頻度 |
● 利用時間 |
● 機能ごとの利用頻度 |
● アクティブユーザー率 |
コミュニケーション
顧客との関係は長く続くようにすることを前提としているため、どのように関わっていくかもヘルススコアに影響します。顧客との関係は長く続くようにすることを前提としているため、どのように関わっていくかもヘルススコアに影響します。例えば、以下のような指標があります。
● セミナーや説明会、トレーニングの参加人数 |
● ミーティングの回数 |
● サポートへの問い合わせ回数 |
● FAQなどのサービス利用状況 |
ヘルススコアを導入・運用する手順 5ステップ
それでは実際にヘルススコアをカスタマーサクセスへ導入しようとしたときにはどのような手順で進めていけばよいのかを解説します。
① 顧客の状態を定義、診断する
初めに、現在の顧客の状況を把握して、サービスを利用したあとにどうなれば「健康」な状態と言えるのかを定義します。このとき、サービスの利用姿勢などから逆算するように進めると決めやすくなります。
ただし、サービスの内容や種類などによっては1日に1回のログインで十分であったり、1日に数回のログインがおこなわれたほうが良かったりと状況が変わるため、自社にあった定義をつける必要があります。
② ヘルススコアとする要素を決める
次にどのような指標でヘルススコアを決めていくかの要素を決定していきます。このとき、数値化して表現できる要素にしていくことがポイントです。ログイン回数やトレーニングの参加率、参加数などがあります。
③ ヘルススコアの算出方法を決める
要素が決まったら、要素に応じてどの程度なら良い、悪いという扱いになるかの基準を定めます。10段階評価の満足度で、10なら50点、5なら25点などです。
④ ヘルススコアに応じた対応を決める
ヘルススコアの点数に応じて、取るべきアクションを決めていきます。ヘルススコアの高い顧客には新しい提案をする、低い顧客にはヒアリングをして改善するための活動をするなどがあります。
ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチなどの分け方があるものの、ヘルススコアに応じた分け方の場合、ヘルススコアが高い顧客だからといって、担当者が直接訪問する必要がないことがあります。ヘルススコアが高い顧客の場合は、ツールやFAQなどで自分で調べて解決できるため、むしろテックタッチで十分な場合があります。
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⑤ 定期的にヘルススコアとアクションを見直す
実際にアクションを取ったあとは、以下の改善をしていきます。
● 設定したアクションは適切だったのか |
● 設定した要素は適切だったのか |
● より良いアクションはないか |
最初に計画したヘルススコアが1番の成果が出るということはほとんどないため、常にPDCAを回して自社にとっての最高の形を目指していきます。
まとめ
カスタマーサクセスが顧客の成功体験の支援ができるようにしていくための指標がヘルススコアです。健康で寿命が長くなるようにヘルススコアの高い顧客を増やしていきたいもの。ヘルススコアの向上はそのままLTVの向上、ビジネスの発展に寄与します。
自社や顧客に合わせて、ヘルススコアを導入していくため、一つ一つの手順を踏んでいく必要があります。しかしながら、最初は設定したものがヘルススコアとして妥当なのかどうかを判断しきれないかと思います。
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