テックタッチはカスタマーサクセスにおける重要なタッチモデル!具体的な手法や導入手順を解説
テクノロジーを用いて顧客を支援する「テックタッチ」は、現在多くの企業が導入を進めています。その理由は、システムによる自動化で大幅な人的工数削減を実現できるためです。しかし、やみくもに導入すると「使いにくいサポート」として顧客満足度の低下につながりかねません。
導入前にこの記事で紹介する「テックタッチの進め方5ステップ」を確認しておきましょう。正しい手順で導入するとテックタッチの恩恵を最大限に受けられ、顧客満足度の向上も期待できます。まずは、テックタッチの仕組みやメリットから確認していきましょう。
目次[非表示]
- 1.テックタッチとは? カスタマーサクセスにおける重要なタッチモデル
- 2.テックタッチが注目される3つの理由
- 2.1.一度に多くの顧客をフォローできる
- 2.2.人的工数を削減しリソースを有効活用できる
- 2.3.属人化を防ぎサポートの質を均一化できる
- 3.テックタッチの具体的な手法
- 4.テックタッチを導入する際に意識すべき最重要ポイント
- 5.テックタッチの進め方を5ステップで解説
- 5.1.顧客が求める体験を整理する
- 5.2.テックタッチを導入するポイントを明確にする
- 5.3.事前テストで精度を確認する
- 5.4.ツールを選んで導入する
- 5.5.導入後は定期的にチェックし改善する
- 6.テックタッチを導入し業務効率化につなげよう
テックタッチとは? カスタマーサクセスにおける重要なタッチモデル
テックタッチは、カスタマーサクセスにおけるタッチモデルの1つです。タッチモデルは「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の3つに分類され、いずれもカスタマーサービスの手法です。顧客が増えてくると平等に質の高いカスタマーサクセスを行い、顧客を成功に導くことは難しくなります。とくに人的工数には限りがあるので、顧客満足度を高めるにはフォロー体制を最大限工夫しなければなりません。
顧客価値を3層に分けて適したタッチモデルを取り入れることで、企業と顧客の双方にメリットのあるフォロー体制構築につながります。ここからは、3つのタッチモデルの違いを比較しながら解説します。
ハイタッチ:専任担当による手厚いフォロー
顧客に対して専任担当者をつけ、1対1で支援を行う体制を「ハイタッチ」と呼びます。顧客の事情に合わせてサポート体制をカスタマイズできる点が大きなメリットで、3つのタッチモデルの中でもっとも柔軟にサポート体制を変化させられる手法です。
ただし、手厚いサポートを行うには人的リソースが必要不可欠となり、最低1人以上の専任担当者が確保できなければ成立しません。ハイタッチは負担が大きいタッチモデルなので、LTV(顧客生涯価値)が高い顧客に限定して行う場合が多いです。
ロータッチ:セミナーなどの1対複数の支援
「ロータッチ」はセミナーやワークショップなど、1対複数で行う支援を指しています。製品・サービスを利用するにあたって必要な知識やスキルを伝授するには適した手法といえるでしょう。多くの顧客をまとめてフォローできるため、ハイタッチより効率的にサポートできる点が特徴です。一方、顧客ごとの悩みを解決することは難しくなります。1対複数の支援活動では顧客ごとに時間を確保することが難しく、特有の悩みや問題点をフォローすることは困難です。そのため、中間層の顧客に対して実施する場合が多くなります。
テックタッチ:テクノロジーを活用した一斉支援
人力ではなくテクノロジーの力でフォローするものが「テックタッチ」です。一度システムを構築すると人的リソースをほとんど必要としないため、少人数の企業でも多くの顧客をフォローできます。具体的にはチュートリアルやコンテンツ配信、チャットボットなどがあり、不特定多数の顧客に対してのフォローにおいて効果的です。多くの顧客が疑問や関心を抱きそうな内容を想定して回答を用意しておけば、不特定多数の顧客をフォローできます。
SaaS企業やサブスクリプションモデルを導入する企業は、急激に顧客が増加する傾向にあり、顧客ごとに手厚くフォローすることは簡単ではありません。テックタッチを取り入れると、ツールやシステムにより多数の顧客を一斉にフォローできるため、必要なリソースを最小限に抑えられる点が特徴です。
テックタッチが注目される3つの理由
テクノロジーを活用して顧客を効率的にフォローできるテックタッチですが、注目される理由はそれだけではありません。効率化により人的工数を削減しリソースを有効活用できることはもちろん、サポートの属人化も防げます。以下では、テックタッチが注目される3つの理由について、詳しく解説します。
一度に多くの顧客をフォローできる
テックタッチが注目される最大の理由は、テクノロジーの活用により一度に多くの顧客をフォローできることです。自動的に顧客をフォローする体制が構築できれば、カスタマーサクセスにかかる人的コストを大幅に削減できます。
専任担当者によるフォロー「ハイタッチ」を実施するには、顧客の要望に対して柔軟に対応できる優秀な人材が欠かせません。しかし、優秀な人材ほど負担が大きくなり、人材確保も難しいのが現状です。テックタッチを導入すると、比較的簡単に解決できる問題はテクノロジーによって解決し、手厚いサポートが必要な顧客に優秀な人材を充てられます。
人的工数を削減しリソースを有効活用できる
テクノロジーを用いると、顧客当たりのサポート時間を気にする必要がありません。人でなくても解決できる問い合わせや疑問点はツールに任せることで、人的工数の大幅な削減につながります。ゆとりが生まれたリソースは、手厚いフォローが必要な顧客に充てることで顧客ごとの問題に対処することが可能です。
テックタッチ導入でメリットが発生するのは企業だけではありません。顧客にとっても大きな魅力があります。たとえば、製品やサービス利用中に解決できない悩みが発生した場合、企業が営業時間外だと電話などで問い合わせを行うことはできません。しかし、テックタッチによるサポートを利用すると、24時間365日いつでもサポートを受けられる可能性が高いのです。
属人化を防ぎサポートの質を均一化できる
コールセンターやお客様窓口といったカスタマーサポートでは、担当者によるスキルや対応の違いが問題になることも少なくありません。一度目と二度目の問い合わせで異なる担当者が対応すると、対応品質の違いからクレームが生まれることもあります。
テックタッチを活用すると、このような事態を未然に防ぐことが可能です。テクノロジーによって自動的に対応するので、対応品質の違いによってクレームが発生する心配はありません。サポート品質の均一化は企業と顧客の双方にメリットをもたらしてくれるのです。
テックタッチの具体的な手法
テックタッチが注目される理由を理解したら、導入を検討したくなった方が多いはずです。ハイタッチやロータッチと合わせて活用することで、効果を最大化できるでしょう。以下では、具体的な手法を3つに分けて紹介します。導入事例の参考としてぜひチェックしてください。
FAQで先回りして解決策を提示する
製品やサービスの情報を詳しく伝えるには、FAQを活用することがおすすめです。FAQとは顧客から想定される質問に対して回答を用意しておくことです。ホームページで見かける「よくある質問」などがFAQに該当します。想定される質問をいくつかピックアップして回答しておくと、同じ問い合わせを減らせる点もメリットの1つです。
顧客の特性に合わせた媒体でコンテンツを配信する
コンテンツ配信による支援もテックタッチの1つです。メールやチャット、アンケートなど顧客の特性に合わせた媒体を活用することで、気軽に利用してもらえるでしょう。場合によってはウェビナーやポッドキャストも効果的です。
いくら質の高いコンテンツを作り上げても、顧客に届かなければ意味はありません。たとえば、顧客の年齢層が低い場合、メールで配信しても見てもらえる可能性は低いでしょう。早いテンポでのコミュニケーションに慣れているため、チャットなどの媒体が最適といえます。顧客の年齢や性別などの特性を踏まえて媒体を決めることが大切です。
自動メッセージでユーザーの動作を手助けする
製品やサービスがアプリケーションの場合、特定のタイミングで自動メッセージを配信して顧客を手助けすることも可能です。あらかじめ想定される疑問をピックアップし回答を表示するなど重点的にサポートすることで、スムーズな解決につながるでしょう。
たとえば、会員登録で特定の人はクーポンコードを入力して割引が適用される場合、「クーポンコードはどこで確認できるのか?」と疑問を抱く人が多いと想定されます。画面下のメッセージで「クーポンコードの確認方法はコチラ」と表示すれば、気になる人はすぐに確認できるため疑問をスムーズに解決できるでしょう。
テックタッチを導入する際に意識すべき最重要ポイント
テックタッチ導入においてもっとも重視すべきポイントは、顧客側で解決策を見つけられることです。サービス利用中に使い方がわからず、顧客が問い合わせを利用するようでは優れたテックタッチとはいえません。起こりうる問題点をあらかじめ想定し、顧客が自身の力で解決できる仕組みを整えておくことがポイントです。過去の問い合わせを分析することで顧客のニーズを正しく理解し、顧客体験を損ねずに問題を解決できるでしょう。
テックタッチの進め方を5ステップで解説
実際にテックタッチを進める前に導入手順を確認しておきましょう。これまで人が対応していたサポートをシステムに任せるのは簡単ではありません。しかし、正しく導入できれば大きなコスト削減につながり、本来必要なサポートに人材を確保できるようになります。
正しい手順を踏まえたうえで、自社に当てはめて導入することで効率的なシステムとして最大限活用できるでしょう。テックタッチの進め方は、以下の5ステップです。
顧客が求める体験を整理する
導入前に顧客が求める体験を整理します。テックタッチを導入しても顧客のニーズに応えられなければ活用されず、無意味なシステムになりかねません。顧客体験を整理するには「カスタマージャーニーマップ」の作成が効果的です。
「いつ」「どこで」「どんな体験」を求めているか抽出し、具体的なニーズを徹底的に洗い出していきましょう。顧客の行動や心理を具体的に把握できれば、必要な対応が明確になり、顧客が満足するテックタッチを導入できるでしょう。
テックタッチを導入するポイントを明確にする
顧客が求める体験を整理したら、テックタッチを導入するポイントを決めていきます。すべてをテクノロジーに任せることは不可能なので、人とシステムの分担を明確に定める必要があります。分担する際に注意すべき点は、自動化によって顧客体験が損なわれないことです。顧客が担当者に直接相談したいと考える案件を自動化してしまうと、適切な解決策が得られず不満を感じる場合も少なくありません。代替することが難しい作業があることも理解しておくことが重要です。
事前テストで精度を確認する
テックタッチを導入する内容が定まったら、事前テストを行って人を相手に試してみましょう。1人がシステム役としてマニュアルを読み上げ、もう1人はユーザー役です。テストをすることでユーザーの反応など顧客体験を理解し、新たなニーズや課題が発見できる場合もあります。
中にはテックタッチが適切ではないと気づくケースもあるでしょう。導入前なのでキャンセルし、ほかの手段に変更することも可能です。テックタッチにこだわるのではなく、カスタマーサクセスとしてベストな手法を追求していきましょう。
ツールを選んで導入する
事前テストが完了したら、ニーズを満たせるツールを導入しましょう。ツール導入にはコストがかかることはもちろん、拡張性にも違いがあります。将来的なシステム拡大も考慮し、連携可能なシステムやツールも確認しておくことが大切です。
一度導入したツールは長期的に使い続けることになります。すぐに変更すると顧客の混乱を招き、信頼関係が崩れかねません。長期的な運用を踏まえて費用対効果を確認したうえで導入を決めましょう。
導入後は定期的にチェックし改善する
テックタッチ導入後は顧客の反応をチェックしましょう。問い合わせ件数をモニタリングし件数減少が確認できれば、テックタッチによる工数削減の効果が表れています。顧客の反応をみて改善点が見つかった場合は、必要に応じて素早く改善することが重要です。
顧客のニーズは刻一刻と変化を続けており、時が経てば導入時点では想定できなかった問題点が浮上します。顧客から想定される問題点を定期的にピックアップし、仮説検証を行いながら常にニーズを満たせるよう改善していくことが大切です。
テックタッチを導入し業務効率化につなげよう
「テックタッチ」は、カスタマーサクセスにおけるタッチモデルの1つです。「ハイタッチ」「ロータッチ」と共に使い分けることで、業務の効率化につながります。テクノロジーを用いて顧客をフォローするテックタッチは、人的工数の削減につながるため、大きな改善効果が期待できます。
ただし、導入方法を誤ると顧客体験を損ねてしまい、顧客がサポート体制に不満を抱くケースも珍しくありません。顧客のニーズを正しく理解し、自動化しても問題がないか検証したうえで導入することが大切です。時が経てば顧客ニーズは変化するので、導入後もモニタリングしながら改善を繰り返すことで、顧客満足度の高いサポート体制が築けるでしょう。
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