コロナ禍のDX推進で情シスは多忙?情シスの働き方の課題と解決方法について解説
企業のDX推進が求められる中、自社のデジタル活用をどのように進めていくべきかお悩みではありませんか?人手不足や生産性向上が求められる現在において、業界・規模問わずデジタルの活用は欠かせません。
企業内でITに最も知見がある部門といえば、「情シス(情報システム部門)」を思い浮かべる方も多いでしょう。実際にDX推進を成功させている企業は、情シスとの連携を強化しています。
しかし、情シスがすでに他の業務を行っている場合や、そもそも社内に情シスを設置していない企業はどのようにしたら良いのでしょうか?そこで本記事では、企業DX推進の鍵を握る情シスの役割について解説します。DX推進を担うご担当者様はぜひ参考にしてください。
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目次[非表示]
- 1.企業DXの目的と、DXが求められる背景
- 1.1.企業DXが求められる背景
- 1.2.企業DXの目的
- 2.企業DXが進まない要因
- 2.1.DXに対する理解不足
- 2.2. ITツールの導入に留まっており業務プロセスが変わらない
- 2.3.検証・改善がされない
- 3.企業DXに情シスが必要な理由
- 4.従来の情シスの役割
- 4.1.IT戦略・企画立案
- 4.2.社内システムの保守・運用
- 4.3.サポート・ヘルプデスク
- 5.DX時代に求められる情シスの役割
- 5.1.社内全体のITシステム活用のための支援
- 5.2.社内ナレッジの横展開
- 5.3.チェンジマネジメント
- 6.まとめ|企業DX推進に向けて情シスのアウトソーシングを活用しよう
企業DXの目的と、DXが求められる背景
「DX」という言葉は昨今、ニュースやメディアで度々取り上げられるようになりました。しかし、用語だけが先行し、誤った認識を持つ方も少なくありません。中には、「DX=IT化」と捉えている方もいますが、厳密にはIT化はDXの一部なのです。情シス活用を解説する前に、ここではDXについて改めて解説します。
▼DXの意味や取り組むべき理由について、こちらで解説しています!
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企業DXが求められる背景
そもそも日本でDXが注目されはじめたのは、2018年にさかのぼります。同年、経済産業省では「DXレポート」を発表し、企業DXを以下のように定義しました。
(引用:経済産業省|デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0)
経済産業省が企業DXを推進する理由は「2025年の崖」と呼ばれる課題が専門家によって指摘されたからです。2025年の崖とは、「現在のまま古いシステムを使い続けた場合、2025年を節目に多くの企業で経済的問題を引き起こす可能性がある」という警笛のことです。これを機に大手企業や行政を中心にDX化に乗り出すようになりました。
企業DXの目的
DXとは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」のことで、直訳すると「デジタル変換」という意味です。昨今のビジネスシーンでのDXとは、データやデジタル技術を駆使して、ビジネスに関わるすべての事象に変革をもたらすことをいいます。一言で表すと、「デジタル技術によってビジネス全体を根底から大きく変革すること」です。
一方DXと混同されやすい言葉に「IT化」があります。DXもIT化も、デジタルツールを活用する点では同じですが、目的が異なります。DXとはビジネスの仕組みそのものを変革することを指しますが、IT化は既存の業務プロセスのまま業務効率化と生産性向上を図るという限定的な意味を持ちます。
DXが注目されるようになったことで、IT企業各社はビジネスチャンスとばかりに、「クラウドツール導入でDXを推進」をうたいます。しかし、いくらクラウドツールを導入しても、ビジネスプロセスが今までと変わらなければDXを実現したとは言えません。
企業DXが進まない要因
企業DXは今や、企業規模や業界にかかわらず重要な取り組みです。労働力減少に伴う人材不足や、経済成長率の低下に伴いデジタルの活用による抜本的な業務プロセスの改革に取り組まなければ、ゲームチェンジに巻き込まれる可能性があります。
しかしながら、多くの企業でDXが進んでいるとは言い難い状況です。なぜ企業DXが進まないかといえば、その要因は主に3つ挙げられます。
それぞれの要因を詳しく解説します。
DXに対する理解不足
そもそも社内にDXに詳しい人材がいないことが大きな要因です。特にIT業界とはこれまで縁がなかった業界・企業では、経営者を含めてITツールの操作すら苦手な方が少なくありません。また中小企業では、1人の担当者が複数の業務を掛け持ちするケースが多く、日々の業務のかたわら最先端の動きに対するインプットが不足しがちです。
ITツールの導入に留まっており業務プロセスが変わらない
DXの目的はITツールを導入することではなく、それによって業務プロセスを変革することです。たとえば、オンラインチャットツールを導入しただけでは、単にコミュニケーションの方法が対面やメールから置き換わっただけです。業務効率化にはつながるかもしれませんが、本来DXの目的から考えれば不十分です。
DXの具体例を挙げると、アパレルメーカーがAIによる自動採寸アプリを開発し、自宅にいながら採寸を受けられ、ECサイトでそのまま商品を購入できるようなものがあります。これにより、ユーザーはわざわざ店舗を訪れなくとも、ジャストサイズの服を購入できるようになりました。このように従来の業務プロセスの変革こそがDXの本質です。
検証・改善がされない
DXを推進する過程で、検証・改善がされないことも課題として挙げられます。現在ではさまざまな業務支援ツールが登場し、調査によれば企業1社あたり平均8.7個のSaaSツールを導入していることがわかっています。
しかし導入後に効果検証を行っている企業は多くありません。たとえば、ITツールを導入して、その後は現場任せになり、効果検証や効果的な使い方の共有がされず、組織としてのナレッジがたまらないことがあります。結果として、ほとんど活用されないまま解約するケースや、コストばかり増えているケースもあります。
(参考:「コロナ期のSaaS導入変化でふり返る2020年」SaaS利用実態調査レポート|株式会社メタップス)
▼多くの企業がDXに失敗している背景そしてDX推進を成功させるためのポイントについて解説しています!
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企業DXに情シスが必要な理由
ここまで、企業にとってDXが必要である理由と、思うようにDXが進まない要因について解説しました。企業がDXを進める上で鍵を握るのが「情シス(情報システム部門)」との連携です。DXのゴールはデジタル活用による企業変革なので、自社の IT インフラを管理する情シスはDX推進に必要不可欠です。
経済産業省の「 DX推進ガイドライン」では、 企業がDX を実現する上で基盤となる IT システムの構築の要素として、以下の3つを挙げています。
1. 全社的な IT システムの構築のための体制
2. 全社的な IT システムの構築に向けたガバナンス
3. 事業部門のオーナーシップと要件定義能力
(参考:経済産業省|デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0)
企業内のDX推進には経営部門、DX推進部門、情シス部門から成る少人数のチームを組成し、組織横断での変革が求められます。よくある失敗ケースとしては、付き合いのあるITベンダー企業の提案を鵜呑みにすることや、比較検討をしないまま実績だけでベンダー企業の提案を受け入れてしまうことがあります。自社がITシステムをよく理解せずにベンダー企業に丸投げしてしまうと、ITシステムの仕様がブラックボックス化してしまい、DXにつながらないばかりか費用だけが発生し続けることになりかねません。ITベンダーの都合に振り回されないためにも、自社内に情シス部門を設け、ITシステム導入後は事業部門と連携を取りながら全体の最適化を図る必要があります。
従来の情シスの役割
DX推進において情シスの存在感が高まっています。そもそも情シスとはどのような役割を担う部門なのかわからない方のために、情シスの主な役割を解説します。
IT戦略・企画立案
情シスはITに知見がある部門であるため、IT戦略や企画立案は重要なミッションです。自社の経営戦略に基づき、その実現に向けたIT戦略の立案や、システムの比較検討を含めた、企画立案を行います。
社内システムの保守・運用
社内の基幹システムや、各部門で導入している社内システムの保守・運用を行います。クラウドサービスが普及する以前は、社内にサーバールームを設置し、ソフトウエアのアップデートやセキュリティの管理が必要でした。万が一サーバーに不具合が生じた際の対応を含めた保守・運用も担います。
サポート・ヘルプデスク
各事業部門が社内インフラや各ITシステムを活用できるように、マニュアル作成・社内ガイダンスの実施から、問い合わせ対応やトラブルシューティングにも対応します。その他、従業員の入社・退職時の初期設定や個人情報削除も担うケースもあります。
DX時代に求められる情シスの役割
市場環境が変化する中で、企業のデジタル活用はますます重要性が高まっています。そうした中で、情シスが担う役割にも変化が起きています。ここでは、DX時代に求められる情シスの役割について具体的に解説します。
社内全体のITシステム活用のための支援
情シスは社内のIT活用のために一層の働きかけが求められます。従来は、何かトラブルや問い合わせがあった際に対応するといった相談窓口的な側面が大きかったのですが、DX時代に求められる情シスは能動的な働きかけが求められます。
たとえば、部門ごとのIT活用率を数値で把握し、活用率が低い部門に課題ヒアリングを実施し、ボトルネックを解消するなど積極的な関与が必要です。
社内ナレッジの横展開
社内でIT活用が進まない要因として、従業員のITに対する苦手意識や理解不足が挙げられます。人は新しいことに抵抗を抱くもので、今までのやり方に固執する傾向が見られます。
情シスは単にITツールを導入して終わりではなく、積極的な活用によって成果につなげている従業員の声を拾い、その活用テクニックを社内ナレッジとして展開し、全体への活用促進を図ることが必要です。
チェンジマネジメント
チェンジマネジメントとは、組織における業務プロセスなどの変革を推進し、成果に導くためのマネジメント手法のことです。企業が成長し続けるためには、時代に合わせた最適化が求められます。企業DXは業務プロセスの変革が求められるため、現場からのボトムアップや積極的な参加意識が必要不可欠です。
しかし中には、急速な環境変化についていけず、反発を起こしたりモチベーションを失くしたりする人材も存在します。そうしたときにトップダウンで押し付けるのではなく、コミュニケーションによって参画意識を高めることが必要です。
情シスは、経営と事業部門の橋渡し役となり、組織全体の協力的土壌形成が求められます。
ここまで、企業DXにおいて情シスの役割が非常に重要であると解説してきました。しかし、企業によっては「情シスを設置する程の余裕がない」「情シスはあるが他の業務で手一杯で新しい業務を任せる余裕がない」といった課題もあるでしょう。
そこでアウトソーシングを活用し、情シスの業務の一部を外部に委託するといった方法も有効です。情シスBPOの一部業務を任せることで情シス業務の負担軽減につながり、自社はDX推進に向けた戦略立案や社内の課題解決など、コア業務に専念することが可能です。
まとめ|企業DX推進に向けて情シスのアウトソーシングを活用しよう
本記事では、企業DXの課題と情シスに求められる役割について解説しました。DXは単なるITツールの導入にとどまらず、業務プロセスの見直しなど抜本的な変革が求められます。その実現に向けて、経営層と各事業部門の結節点となる、DX推進部門と情シスの連携が必要不可欠です。
また情シスが担う業務は、時代に合わせた最適化が必要です。既存の業務で手一杯となっている場合は、一度抱えている業務を整理し「自分たちがやるべき業務」「自分たちでなくても出来る業務」を分けてみると良いでしょう。
その中で、自分たちでなくても出来る業務に関してはアウトソーシング活用の検討もおすすめします。
キューアンドエーでは、「社内ヘルプデスクBPO」というサービスを展開しており、情シスの運用業務やヘルプデスク対応など、情シス担当者の業務を担い、戦略的アウトソーシングを実現します。相談は無料ですので、もしDX推進に行き詰まっている場合や、情シスとの連携に課題を感じている場合はお気軽にご相談ください。
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