AI最前線ChatGPTの企業での活用方法と導入メリット。利用する際の注意点と活用事例を紹介

ChatGPTは、急速に進化する人工知能(AI)の中でも特に注目されている技術です。優れた自然言語処理能力と柔軟な対話スキルによる「革新的なコミュニケーション手段」として、多くの企業で活用され始めています。ChatGPTを活用することで、企業のマーケティング活動の強化や事務作業の効率アップ、ビジネスアイデアの創出など、多岐にわたるメリットを享受できます。
 
一方でChatGPTを企業で利用する際には、正確性を担保するための仕組みや、プライバシーや倫理面の配慮など、適切に運用するための「運用設計」と「運用管理」が必要です。本記事では、ChatGPTの導入メリットや利用する際の注意点、企業での活用方法のヒントや具体的な活用事例を紹介します。ChatGPTを業務に取り入れて活用したい方は、ぜひご覧になってください。

目次[非表示]

  1. 1.ChatGPTとは
  2. 2.企業でのChatGPT活用方法と導入メリット
    1. 2.1.①翻訳
    2. 2.2.②プログラムコード作成支援
    3. 2.3.③新規ビジネスアイデアの創出
    4. 2.4.④マーケティング活動支援
    5. 2.5.⑤チャットボット
    6. 2.6.⑥事務サポート
  3. 3.企業がChatGPTを利用するときの留意点
    1. 3.1.①情報の「正確性」と「信頼性」
    2. 3.2.②セキュリティとプライバシー
    3. 3.3.③倫理への配慮
    4. 3.4.④ユーザー体験と品質管理
  4. 4.企業や大学で進むChatGPTの活用事例
    1. 4.1.ベネッセホールディングス
    2. 4.2.大和証券
    3. 4.3.立命館大学
  5. 5.ChatGPTを活用し、業務の生産性を高めて企業成長に役立てよう


ChatGPTとは


ChatGPTは、アメリカのOpenAI社によって開発されたサービスで、高度なAI技術で「人間のように自然な会話」ができるAIチャットサービスです。文章の生成や情報の検索、利用者の質問に対する回答や助言など、さまざまな用途に利用可能です。2022年11月のサービス公開後、無料で利用可能な革新的なサービスとして注目を集め、リリース後のわずか2か月でユーザー数1億人を突破しました。
 
ChatGPTは、予め用意された回答をおこなう従来のチャットボットと異なり、「リアルな会話文」を生成できることが特徴です。文章による会話を通じて、利用者がどのような情報を欲しいのかを推測して返答することができ、人間と本当に会話しているかのような自然なやり取りを実現します。
 
2023年3月に、ChatGPTの性能がより向上した「GPT-4」がリリースされました。このGPT-4は、有料プランの「ChatGPT Plus」に課金したユーザーが利用可能です。従来のモデル(GPT-3、GPT3.5)に比べて精度がさらに向上したことで、世界中のさまざまな企業や個人が活用しています。


企業でのChatGPT活用方法と導入メリット

ChatGPTは、企業活動のさまざまな場面で活用できます。企業でのChatGPTの活用方法とメリットについて、代表的なものを以下に6つ紹介します。


①翻訳

ChatGPTの有効な活用法として「多言語翻訳」があります。ChatGPTは多くの言語に対応しており、たとえば英語から日本語へ、またはその逆の翻訳が可能です。ChatGPTを活用することで、海外との取引や情報収集時の翻訳作業をスムーズにおこなうことができます。また、ChatGPTの多言語対応機能は「外国語の学習支援ツール」としても利用可能です。新しい語彙の意味や難解な文法の解説まで、ChatGPTは多様な学習ニーズに応えてくれます


②プログラムコード作成支援

ChatGPTは「プログラムコードの作成支援」が可能です。たとえば、開発者がウェブアプリの新機能を追加したいときに、ChatGPTに要件を入力すると適切なサンプルコードを自動生成してくれます。また、プログラミングの初心者がコード作成で困ったときに、ChatGPTに質問すると解決策の助言をもらうことができます。ChatGPTは多様なプログラミング言語に対応しているので、言語を問わずコード作成の時間を大幅に削減できるでしょう。


③新規ビジネスアイデアの創出

ChatGPTは、企業の新たなビジネス戦略を考案したり、プロジェクトのアイデアを拡大したりするのに役立ちます。ChatGPTは大量のテキストデータからパターンを学習し、「新たな組み合わせ」を提示します。一般的なアイデアから意外な提案まで幅広く提供してくれるため、ChatGPTの活用により「新しい視点やアイデア」を引き出すことが可能です。


④マーケティング活動支援

企業のChatGPTの活用法として「マーケティング活動支援」が挙げられます。従来は時間をかけて作成していた宣伝活動の文章やメール文章を、ChatGPTが代わりに担ってくれます。たとえばChatGPTに「新製品を宣伝するためのプロモーション文を作成して」と要求すると、関連するクリエイティブな文章を生成。ChatGPTで生成した文章は、広告宣伝やブログ記事、メールマーケティングなど、さまざまなマーケティングコンテンツに役立ちます。


⑤チャットボット

ChatGPTの重要な活用方法のひとつが「チャットボット」での利用です。人間らしい自然な言葉でさまざまな質問に対応できるため、ChatGPTはカスタマーサポート業務を助ける強力なツールになり得ます。今後、更なる活用が期待されている領域ですが、チャットボットによる回答の品質や一貫性、正確性を保つために、運用は十分に注意しなければいけません。


⑥事務サポート

ChatGPTは「事務サポート」にも有効です。会議のアジェンダ作成や議事録の要約など、日々の事務業務のサポートに役立ちます。たとえばドキュメントの作成では、ChatGPTが文章やレイアウトの提案、さらには既存文章の校正をおこなってくれます。ChatGPTを活用することで、ドキュメント作成に掛かる時間と労力を、大幅に削減することが可能です。


企業がChatGPTを利用するときの留意点

多くのメリットをもたらしてくれるChatGPTですが、企業がChatGPTを利用する際に留意すべき点があります。以下の留意点を把握し、人間が適切な管理と判断をおこなうことが重要です。


①情報の「正確性」と「信頼性」

ChatGPTは大量の学習データを基に回答を生成しますが、そのデータには誤りや偏りが含まれる可能性があります。そのため、生成された回答の正確性を人が確認し、情報の信頼性を担保する必要があります。特に最新のトピックや専門知識については、公式な情報源や信頼性の高いデータベースと照らし合わせることが重要です。

②セキュリティとプライバシー

ChatGPTの生成する内容には、「機密情報」や「個人情報」を含んだ回答を生成する可能性があります。そのため、企業はChatGPTに含まれる内容が企業や個人のプライバシーを侵害しないかに十分注意し、取り扱い情報の適切な管理をおこなわなければなりません


③倫理への配慮

ChatGPTが生成する文章の中には、偏見や差別的な表現が含まれる可能性があります。生成された文章を企業で使用する際には、倫理的な観点を考慮し、人の目で内容をしっかり確認することが重要です。企業活動は、公正かつ倫理的なコミュニケーションが求められるため、倫理面の配慮について十分注意しましょう。


④ユーザー体験と品質管理

企業でChatGPTを活用する際は、「ユーザー体験」と「品質管理」への配慮が必要です。ユーザーの満足度を高めるためには、ChatGPTの回答の適切さや一貫性、文章の読みやすさなどを人が評価して、必要に応じて調整や改善をおこなうことが求められます。ユーザーからのフィードバックやモニタリングを通じて、ChatGPTの品質を向上させましょう。


企業や大学で進むChatGPTの活用事例

ChatGPTは、実際に一部の企業や自治体、大学での導入が進んでいます。以下に、ChatGPTの活用事例を3つ紹介します。

ベネッセホールディングス

ベネッセホールディングスは2023年4月に、社内AIチャットボット「Benesse GPT」をグループの約1.5万人の社員に提供し、利用を開始しました。本システムはセキュリティの観点を考慮し、Microsoft Azure上の独自システムで運用されています。AIチャットボットの導入により、社員の業務の生産性を向上させるとともに、新商品やサービスの検討を積極的におこなえる環境を社内に構築。ベネッセホールディングスは、社員の働き方改革と業務効率化を推進するため、Benesse GPTを積極的に活用していく予定です。(出典:ベネッセホールディングス、約1.5万人の社員に向けて社内AIチャットボット「Benesse GPT」を提供開始


大和証券

大和証券は2023年4月にChatGPTを導入し、活用を始めています。約9000人の社員が、情報収集や資料作成などさまざまな業務にChatGPTを活用。ChatGPTで業務の効率化を図り、企画立案や接客などの業務時間を増やすことを目指しています。大和証券は情報の漏洩を防ぐため、外部へ情報流出を防ぐシステムを構築しました。また、回答内容の正確性を担保するために、社員が最終的に内容を確認する仕組みを導入。これらの仕組みによって、個人情報の漏洩や回答の正確性に対する懸念を解消しています。(出典:大和証券、ChatGPTを導入し全社員9000人を対象に活用開始


立命館大学

立命館大学は、2023年4月からChatGPTと機械翻訳を組み合わせた英語学習用ツール「Transable」を、同大学の一部の英語授業で試験的に導入しました。本取り組みは、大学英語教育の新たな在り方を模索するための取り組みとして、試験的に9月30日まで実施される予定です。本取り組みによって「AIを活用した教育効果の向上」を図り、学習成果や学生の心理面の変化を検証して、英語によるアウトプットの精度向上と社会で実践できる英語スキルの獲得を目指すとしています。(出典:立命館大学、ChatGPTと機械翻訳を組み合わせた英語学習ツール「Transable」を試験導入


ChatGPTを活用し、業務の生産性を高めて企業成長に役立てよう

ChatGPTは、企業の業務効率化やビジネスを促進する可能性を秘めており、今後は多くの企業が導入して、活用が加速するでしょう。ChatGPTは企業に多くのメリットをもたらす一方で、誤った情報の提供やプライバシー保護の懸念、倫理的な問題への注意が必要です。
 
ChatGPTを活用するには技術的な側面だけでなく、倫理的な側面やセキュリティ上のリスクに注意を払いながら、ChatGPTの使い方を自社に合わせてチューニングしていくことが求められます。ChatGPTの適切な活用は、未来への第一歩であり企業成長を後押しします。本記事で取り上げた内容に注意して、ChatGPTの可能性を最大限に活かしましょう。


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キューアンドエー株式会社   坂倉 秀太
キューアンドエー株式会社   坂倉 秀太
複数のコンタクトセンター責任者を経て、キューアンドエーに2018年中途入社。 ICT(「情報通信技術」)に特化したコンタクトセンターとオンサイトサポートをメインに、大手クライアントのインサイドセールスプロジェクト責任者としてデジタル基盤から体制までを一から立ち上げる。 中期計画にて自社事業、提供サービスの展望を望み、 セールス領域で他企業と差別化できるデジタルマーケティング、 インサイドセールス確立を見据えプロジェクトを推進している。