SVの光と影~クライアントに付加価値を提供するSVとモンスターSV
前回はクライアントが扱いに困る「モンスター化したSVに潜むリスク」についてお話ししました。モンスターSVを放置したままにしていると、コールセンターの応対品質の低下➡サービス品質の低下➡企業イメージの低下へと繋がりかねません。
では、SV(スーパーバイザー)の本来あるべき姿、SVの理想像とはどのようなものでしょうか。本記事で「クライアントに付加価値を提供できるSV」について考えてみましょう。
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SVに求められる役割
KPIを達成するための重要な役割
SVには、「監督者」「管理者」という意味があり、センター全体を監督する役割があります。SVに本来求められる主な役割は、KPI管理やオペレーターの指導・育成、二次対応です。センター全体と個々のオペレーターの業務効率や応答品質、顧客満足度をチェックして、クライアントが定めるKPIを達成できるようにマネジメントします。下図のように、SVはセンターのKPIを達成することで、コールセンターの顧客満足度を上げるなど、クライアント、エンドユーザー、オペレーターの三者に影響する重要な役割です。
意識が低いSVは、クライアントからの要望や施策を、ただの目標数値としてオペレーターに伝えます。しかし、これでは機械的に業務をこなすだけのオペレーターを育成してしまうだけです。一方でクライアントに付加価値を提供できるSVは、現場での深い考察に基づいてセンターの課題を分析し、さらに業務を改善するための施策を提案・実行して結果を報告します。
SVはクライアントの期待に応えるため、多岐にわたって業務をこなします。SVにはオペレーターでは解決できないクレームや問い合わせに対応できるスキルや、オペレーターを指導してKPIを達成していく業務遂行能力が必要です。
SVのミッションは、クライアントが定める指標の達成であり、クライアントの要望に応えるのがSVの仕事です。そのKPI目標を達成するためにオペレーターのマネジメントが重要です。
SVはコールセンターにおける司令官
コールセンターでのオペレーターのマネジメントを、日本で大きな盛り上がりをみせていたサッカーに例えてみましょう。サッカーにおける司令官(監督)は、練習スケジュールを組んで選手の技術を向上させ、勝利を目指します。そして監督は試合を見守り、ハーフタイムを除いて、原則試合中には直接選手に指示を出しませんが、チームを鼓舞して、チーム全体に「勝つための戦術」や個々の役割を理解させます。
同じようにコールセンターのSVは、センター全体が効率的にKPIを達成するためにオペレーターを育成し、個々のスキルや課題に合わせて業務をこなせるようにサポートします。顧客満足度のように数値だけでは読み取りにくい分野についても、オペレーターそれぞれがどのようにセンターに貢献しているか具体的に褒めることでモチベーションを向上させられるでしょう。
クライアントに付加価値を提供できるSVとは?
SVに必要なスキル
次に、SVに必要なスキルについて解説します。SVに必要な職業スキルとしては、大きく分けて、「業務管理」「人材管理」「品質管理」「収支管理」とがあります。これらの職業能力はもちろんですが、これだけではSVとして十分な資質を備えることはできません。もう一つ大切なのは、人間性です。特にコールセンターの運営においては、サポートマンシップ[1] がとても重要になってきます。
サポートマンシップを育てれば、SVはモンスター化しない
SVはオペレーターを教育してまとめたり、クライアントと信頼関係を構築していく役目を担うため、人間性の高さやサポートマンシップが必要です。オペレーターとの関係においては、対応に苦慮するクレームを代わりに引き受けるといったような対応力だけでなく、オペレーターへのケアや配慮もできる面倒見が良いSVは、心から頼られる存在となるでしょう。コールセンターはストレスの強い職場ですから、人当たりの良さも大切ですね。
また、クライアントとの関係においては、クライアントの課題を真摯に受け止め、解決に導きたいというマインドも、とても大切です。オペレーターに対しても、どうすればクライアントに対して付加価値を生み出せるかを考えるように指導し、クライアントとの接し方などの教育も必要でしょう。
まとめ~SVが本来の役割を果たせていなかったら
これまでのご説明通り、サポートマンシップのマインドを育てれば、SVはモンスター化しないのです。しかしながら、既に委託先にモンスター化したSVがいるとしたら、「あなたのコールセンターに、こんなSVいませんか?~ SVのモンスター化とは~」で記載されているような憂慮すべき事態が常態化している可能性があります。
もしもこのような状況であれば、SVの本来の役割を果たせていないということになるため、委託先と改善に向けた話し合いが必要です。それでも改善できない場合には、委託先の変更を検討してみてもよいでしょう。
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次回は、具体的に委託先を変更する際のポイントについて解説します。ご担当者の方などは、次回の記事もお読みいただければとおもいます。
■次の記事
→【失敗できない】コールセンターの委託先を切り替える時のポイントとは?
[1] 「サポートマンシップ」とは「お客さまのお力になりたい」という素直な気持ちから生まれたサポートマインドと、お客さまの事前期待を超えるべく、顕在的な課題の深掘から真の課題である潜在的な課題の解決を図ることで、「お客さまの事業成長に貢献し続ける」ための取り組みです。