インサイドセールス組織の成長フェーズ別戦略:段階的アプローチで成果を最大化する方法
インサイドセールスで確実な成果を創出し、よりスケールさせる戦略を組む場合、組織そのものをも拡大させることが重要です。ただ組織拡大に向け検討を進めていても「新設すべき上位ポジションが分からない」「各ポジションの役割や業務内容が明確ではない」といった課題から、なかなか組織変革が実現しないという企業様のお悩みを耳にします。本記事では、インサイドセールス組織の成長に必要な要素、各ポジションと役割、事業のフェーズごとで検討すべきインサイドセールスの組織体系について解説します。将来的に成長し続ける、より良いインサイドセールス組織構築のためにぜひお役立てください。
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目次[非表示]
- 1.インサイドセールスチームの成長に必要な要素とは
- 2.インサイドセールスチームの各ポジションと役割体制
- 2.1.① マネージャー
- 2.2.② プランナー
- 2.3.③ スーパーバイザー
- 2.4.④ インサイドセールススタッフ
- 2.5.⑤ データ管理者
- 3.フェーズごとに考えるインサイドセールス組織体制
- 4.インサイドセールスチームでのマネージャーの役割とポイント
- 5.まとめ
インサイドセールスチームの成長に必要な要素とは
インサイドセールスの成長に必要な要素は、「持続性」と「再現性」と考えます。持続性と再現性の説明の前にまず、インサイドセールスの成功とは何か、について再定義してみましょう。
インサイドセールスでの成功とは、立ち上げたインサイドセールス組織が活動を継続し、企業の利益を出し続ける組織として定着することです。インサイドセールスを組織として構築したとしても、業務が複雑、人材不足といった理由から組織としての継続が難しければ、当然企業の利益や事業の成長に寄与しづらくなります。そこで、重要視すべき要素が「持続性」です。インサイドセールスが組織として成長し続けるには、まずインサイドセールスを営業組織として定着させる持続性が必須となります。
次に必要な要素が「再現性」です。インサイドセールスの活動は1対1、また1対多数への両方に対し、架電やメールといった手法でのアプローチを数多く行います。それらの活動プロセスが詳細に定まっていないなどの理由で、メンバーの勘や経験に頼った属人的な活動を行うと、組織全体で安定的な成果を得ることが難しくなります。ターゲットに合わせたシナリオ作成やトークスクリプト化など運用の型化を推進することで営業活動の再現性を高め、メンバー個人ではなく組織に所属するメンバー全員が一定の成果を上げる仕組み作りが重要です。
立ち上げが間もないころから、持続性と再現性の高いインサイドセールス組織を構築できる可能性は低いと言えるでしょう。組織を継続するためのメンバーのノウハウや経験が蓄積されておらず、人員も限られているためです。事業や組織の規模、予算に応じてインサイドセールスの事業フェーズも推移します。それにより組織としての持続性と営業活動の再現性の高いインサイドセールスのチーム作りが実現するでしょう。インサイドセールスの事業フェーズごとの体制の具体的な例は、後ほど解説します。
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インサイドセールスチームの各ポジションと役割体制
「持続性」と「再現性」の高いインサイドセールスの組織を実現するには、個で動くグループという位置付けからの変革が必要です。それぞれのチームメンバーに課された役割が明確化された上で、それぞれがその役割を全うし、より組織的に動く活動が重要となります。
ここでは、事業規模が大きくなった際に役割を検討したい、インサイドセールスチームの各ポジションと役割について順に紹介します。
① マネージャー
マネージャーはインサイドセールス組織の上司です。全体のインサイドセールス活動の管理をはじめ、モチベーション管理、メンタルケアといったメンバーのマネージメント業務も行います。
マネージャーの具体的な業務や役割については、後ほど解説します。
② プランナー
ミッション |
インサイドセールス活動の企画や分析、検証による成果の出るコンテンツの作成 |
役割 |
コミュニケーション活動に関する企画や検証 |
主な業務内容 |
インサイドセールスのシナリオ作成など |
③ スーパーバイザー
ミッション |
チームやメンバーの状態把握、必要に応じた対応による業務の円滑化 |
役割 |
インサイドセールスの現場全体の管理 |
主な業務内容 |
メンバーのコール数やコール内容の管理 |
④ インサイドセールススタッフ
ミッション |
マーケティングが集客したリードの商談化 |
役割 |
インサイドセールス活動の実行 |
主な業務内容 |
リードへ電話やメールなどでアプローチ |
⑤ データ管理者
ミッション |
インサイドセールスのデータやシステムの平常化 |
役割 |
データやシステム周りの管理 |
主な業務内容 |
データの出し入れ |
フェーズごとに考えるインサイドセールス組織体制
インサイドセールスの立ち上げ後、うまく運用ができず悩む企業も少なくありません。リサーチPR「リサピー®︎」を提供する株式会社IDEATECHがBtoB企業でインサイドセールスを担当している営業担当者100名を対象に実施した「BtoB企業のインサイドセールスに関する実態調査」によると、71.0%の回答者が「インサイドセールスで失敗した経験がある」と回答しました。
(出典:PR TIMES「【BtoB企業に調査】7割以上が「インサイドセールスでの失敗経験」あり!失敗しないためのコール・メルマガ内容に、半数が「相手のニーズに合わせた設問」と回答」)
失敗する原因のひとつに、導入当初から多数のメンバーを配置することがあげられます。立ち上げ当初はインサイドセールスのノウハウや知識が蓄積されていないことが多く、人材育成がうまくいかない、成果分析ができず営業活動のPDCA運用ができない、といった問題が生じる可能性が高いのです。更に、SALES ROBOTICS株式会社の実施した「インサイドセールスの内製に関する市場調査」の「インサイドセールスを導入した際に重視したことで最もあてはまるもの」での質問では、「社内にあるリソースでスモールスタートすることをもっとも重視した」という回答が全体の24.6%でした。
この結果から、人員リソースやポジションの配置含め、事業規模やフェーズに応じて組織体制を順に整えていくことが、成果に繋がる組織づくりの良いステップであることがわかります。具体的なフェーズごとのインサイドセールス組織体制について順に解説します。
① 初期フェーズ
組織の状態 |
立ち上げ時から1~2年程度 |
必要な人員数 |
2~3人 |
KPI |
商談数 |
中心となる活動 |
集客したリードの商談化 |
想定される課題 |
・活動内容の具体化
・活動の属人化
・(リードの増加による)リソース不足
|
インサイドセールス立ち上げから1年未満の場合、多くのメンバーは必要ないケースがほとんどです。メンバー数を少なくすれば、営業活動の現状で把握すべき範囲も小さくなります。その結果、属人化している営業活動の可視化や言語化がしやすくなるでしょう。属人化を解消することによって、営業活動に関するノウハウを共有しやすくなり、ノウハウの蓄積もしやすくなります。インサイドセールス立ち上げ時には、スモールスタートを意識しましょう。
属人化が解消されれば、ノウハウが蓄積されることで営業の効率化が進み、営業活動での成果が上がり、商談数の増加も見込めるようになるでしょう。商談数が増加すれば、必然的に対応するメンバーのリソースが足りなくなります。商談数に対してメンバー数不足が課題として発生しはじめそうなタイミングで、次の拡張フェーズへ進みましょう。
② 拡張フェーズ
組織の状態 |
・商談数が初期フェーズの2倍程度に拡大 |
必要な人員数 |
5~7人(営業方針によってはBDR・SDRに分ける場合もある) |
KPI |
受注数、商談数 |
中心となる活動 |
集客したリードの受注化、商談化 |
想定される課題 |
・再現性が未確立 |
この拡張フェーズでは、インサイドセールス立ち上げ時と比較し、リードが増加したことで、メンバーの人数の拡大を視野に入れることになるでしょう。また、更なる顧客数の拡大を目標とする場合にはより多角的なリードへのアプローチも行うようになります。
このフェーズでは、属人化の解消や営業活動の効率化を実現するために、再現性の高い営業活動の確立が求められます。
拡張フェーズではインサイドセールスが組織として構築されていない場合、組織化を図る段階でもあります。インサイドセールスを組織的に運用するためには、各メンバーの役割を明確にすることが重要です。各メンバーの役割を明確にすることで、業務や役職に応じてチームを構築し、上司を立ててチームの目的ごとに効率的な営業活動が実現できます。そのために、組織全体を管理するリーダーやマネージャーの育成も行うことになります。
③ 成熟フェーズ
組織の状態 |
・商談数が4~7倍に拡大 |
必要な人員数 |
10~15人 |
KPI |
・受注数 |
中心となる活動 |
集客したリードの受注化、商談化 |
想定される課題 |
・メンバーの育成体制が未確立 |
成熟フェーズはインサイドセールスでの安定的な成果が期待できるフェーズです。リードの状況に応じたアプローチを効率よく行うために、SDR、BDR、ナーチャリングと役割を細分化するケースがあり、スタッフも役割に応じてチームが細分化されることがあります。また、新入社員を教育するために育成担当スタッフの配置や、入社から即戦力となるまでのキャリアパスを設計し、育成を効率化することも必要と言えるでしょう。
チームがメンバーの役割ごとに多様化したことで、よりリードへの確度を高める必要がある場合が多いです。高度な施策の実行とPDCAサイクルのスピードアップのためにMAツールや外部サービスなどを活用し、スコアリング機能の活用やリードセグメントの分析と検証を行うことが求められることがあります。データ分析と検証結果を改善に活かすことができれば、インサイドセールスの施策のPDCAサイクルを高速化する仕組みづくりがこのフェーズで確立できるでしょう。
インサイドセールスチームでのマネージャーの役割とポイント
インサイドセールスは組織体制をただ構築するだけでなく、メンバーの育成や管理といった運用が行われることで成果が現れるものです。インサイドセールスの目標達成管理や運用の効率化、メンバーの管理を担うポジションが、マネージャーです。
インサイドセールスチームでのマネージャーの役割と運用のポイントを解説します。
マネージャーの役割
インサイドセールスチームのマネージャーの役割は、インサイドセールス全体の管理を行うことです。以下におもなマネージャーが行うインサイドセールスの管理業務をまとめました。
KPIの設計 |
組織のフェーズに合わせた適切なKPIの設定 |
数値管理 |
・KPIの進捗状況の確認 |
他部署の連携 |
・マーケティング、営業部門との連携 |
チームの育成 |
・メンバーの育成 |
チームのモチベーション管理 |
・無理のない目標を割り当てる |
チーム採用 |
・新入社員の採用活動 |
育成業務がポイント
インサイドセールスマネージャーが担う全体管理業務の中で、もっとも重要なのが育成業務です。インサイドセールスがアプローチする方法は電話やメールなどの非対面な方法を取るためリードの表情や感情が読み取りにくく、確実な成果を出すためには高度なテクニックを得るためのトレーニングが必要となるためです。
マネージャーがメンバー育成のために行う業務には、たとえば以下のものがあります。
メンバー一人ひとりでレベルが異なるといった課題がある場合、チーム全体の平常化を行うための施策をマネージャーは行うと良いでしょう。たとえば成功事例などの有益なナレッジをメンバー全体に展開することで、新入社員はベテランと差のある経験の部分で補完ができます。
また、マネージャーとメンバー間での密なコミュニケーションも大事です。マネージャー自らが積極的にコミュニケーションを取り、適切な指導を行うことでメンバーに不足している知識やテクニックを少しずつ蓄積させることができるようになります。メンバーと積極的にコミュニケーションを行い、インサイドセールスで成果を上げるメンバーの育成につなげましょう。
■インサイドセールスチームのマネージャーの役割と実行内容について知りたい方は、こちらを参考にしてください!
→【無料配布資料】成功に導くインサイドセールスマネージャーとは
まとめ
インサイドセールスの組織としての成長に必要な要素や役職の役割、各フェーズごとの組織体制、マネージャーの役割やポイントについて解説しました。インサイドセールスが組織として利益を上げ続けるためには、持続性と再現性を持ち成長し続ける組織を構築することが求められます。さらに、フェーズごとの課題を把握し、適切な施策や対応が必要と言えるでしょう。
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