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なぜDXは失敗に終わるのか?成功に導く重要なポイントを紹介

近年のビジネスシーンではDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞かない日はありません。とりわけ「2025年の壁」ともいわれる通り、多くの日本企業にとってDX化の実現は喫緊の課題です。(参考:DX(デジタルトランスフォーメーション)は推進するには?DX推進を阻む「IT人材不足」の課題と解決策

しかしながら、具体的にDXはどれくらい成果を上げているかと言えば、その実績はさほど多くありません。本記事では、多くの企業がDXに失敗している背景、問題点、そしてDX推進を成功させるためのポイントまで解説します。

目次[非表示]

  1. 1.多くの企業はDXに失敗している
  2. 2.DXに失敗する3つのパターン
    1. 2.1.経営層のDXへの理解不足
    2. 2.2.デジタル人材や実行組織の不足・不備
    3. 2.3.新システム導入後、運用されていない
  3. 3.DX推進を成功へ導く4つのポイント
    1. 3.1.経営陣のコミットメントを確保する
    2. 3.2.デジタル人材を中心にスモールスタートで進める
    3. 3.3.DX評価指標をつくる
    4. 3.4.アウトソーシングの活用
  4. 4.まとめ

多くの企業はDXに失敗している

DX化の実現に向けて、企業各社はDX推進に力を入れています。しかし、その成果は十分に出ているのでしょうか。世界中に展開するコンサルティングファームのPwCコンサルティング社が、2022年に日本企業に対して行ったDX意識調査によると、「DXの取り組みに成功しているか」という問いに対して「十分に成果が出ている」と回答した企業は10%に留まっています。

さらに、「全く成果が出ていない。」「又はあまり成果が出ていない」と回答した企業も30%にのぼり、実に3社に1社近くの企業がDXの取り組みに大きく苦戦しています。この結果から見ても、日本企業がDXに成功しているとは言い難い状態といえます。

                 (参照:日本企業のDX推進実態調査2022|PwC Japan


DXに失敗する3つのパターン

それでは、なぜ日本企業の多くがDXに失敗しているのでしょうか。DXで成果を出せていない企業の特徴は大きく3つのパターンに分かれています。それぞれの失敗の要素について解説していきます。

経営層のDXへの理解不足

経営層のデジタルに対する理解が浅かったり、過去のやり方に固執したりしていると、大きな改革は期待できません。特にDXを「ITツールの活用程度」に捉えている場合は、そもそもDXの本質を理解出来ていないといえます。

さらにDXには最新のデジタルツールの導入はもちろん、従来のビジネスプロセスを変革することが重要であるため、当然コストや時間が掛かります。結局のところ、目先の売上や利益の確保に意識が向いてしまい、DXに取り組んだとしても、思い切った施策を実行できずにいます。

デジタル人材や実行組織の不足・不備

社内にDXプロジェクトを推進できるようなデジタル人財や実行組織が不足している点も、DXが進まない大きな理由です。前述のPwCコンサルティング社のDX意識調査によると、DXを推進するにあたっては、専門組織の設置に加え、しかるべき権限を有したリーダーの有無がDX成果の明暗を分けると指摘しています。

                (参照:日本企業のDX推進実態調査2022|PwC Japan


また、デジタル人材とは、DX推進を担う多種多様な人材の総称をいいます。DX推進に求められるスキルには、データサイエンスやプログラミングといった「技術的なスキル」と、システム設計やプロジェクト管理といった「ビジネス的なスキル」に分けられます。さらに、デジタル人材の役割は一つとは限らず、各個人が持つ能力の掛け合わせによって、複数の役割を担うこともあります。


新システム導入後、運用されていない

DX化に向けて新しいシステムを導入したものの、その後の管理・運用がおざなりになってしまい、次第に形骸化してしまった場合などが挙げられます。とりわけ中小企業では、当時のシステム担当者に管理・運用を任せきりになっており、その後十分な引き継ぎがされないまま退職しまうことで、システム自体が無かったことになるケースもあります。

また、自社にデジタル人材がいないために、システムベンダーに任せきりになっている場合など
も、システムがブラックボックス化してしまい、仕様や過程が見えなくなっていることがあります。これらの他にも、企業のDX化を阻む要因はたくさんあります。いずれの場合も、「DX」というキーワードだけが独り歩きし、形だけのDX推進になっているケースが多く見られます。


DX推進を成功へ導く4つのポイント

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企業がDX推進を成功へと導くためには、どのようなことを意識すべきなのでしょうか。ここでは、具体的な推進ポイントとして4つ解説します。

経営陣のコミットメントを確保する

DXは、情報システム部門や一部の担当者だけが担う業務ではなく、経営陣が自社の最重要課題として捉え、達成に向けてコミットメントすることが大切です。

プロジェクトメンバーには必ず役員レベルを配置し、予算の配分、メンバーの配置、KGI/KPIの策定、定期的なミーティングの開催に至るまで明確に決めて動くことが大切です。また経営者は、社内全体にDX推進についてのメッセージを発信し、デジタル化に向けた組織改革を行うことを理解浸透させることも重要です。

デジタル人材を中心にスモールスタートで進める

DXを推進する上で重要なポイントは、いきなり大掛かりなシステム導入などを行うのではなく、まずは「スモールスタート」で進めることです。例えば、社内業務をAIの自動化を図ろうと、いきなりIPA(Intelligent Process Automation)を導入しては間違いなく失敗します。まずは特定の部署の既存業務でRPAを導入し、検証を重ねながら、他部署に展開を進めていくことで失敗のリスクを抑えられます。意見や課題をヒアリングしながら改善を繰り返していけば、より自社の仕様に合った業務自動化ができるでしょう。

DX評価指標をつくる

DXはデジタルツールの導入がゴールではなく、デジタル活用を通じて従来のやり方を改革することが本質です。そのため、DX推進は短期間で終わるものではなく、長期的な視点を持って取り組むことが前提となります。

長期的に取り組む際には評価指標を設定することが大切です。単にシステムの費用対効果を見るのではなく、何をゴールとするか、そのゴールの達成にはどういった要素が必要かといったKGI/KPIを設定しましょう。それらの進捗状況を常に把握しながら、改善と検証を繰り返すことが大切です。

経済産業省では、企業のDXを後押しするために、「DX推進指標」を策定しています。これは、企業各社がDX推進に関する自己診断が出来るもので、35項目の指標があります。

各社の自己診断結果は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)に提出することで、IPAが蓄積したデータに基づき、診断結果を分析し、全体データと比較が可能になるベンチマークを作成してくれます。(参考:DX推進指標 自己診断結果 分析レポート|情報処理推進機構(IPA)

                            (参照:DX推進指標|経済産業省

アウトソーシングの活用

もし自社にデジタル人財が不足しており、DX推進に本腰を入れて取り掛かれない場合は、専門会社などのアウトソーシングサービスを活用することも検討しましょう。ただし、先述した通り全てを任せきりにするのはブラックボックス化に繋がる恐れがあります。一部の業務だけを任せることや、コンサルティングやアドバイスも含めた定期的なミーティングを任せるなど、自社側にもノウハウが溜まるような状態を目指しましょう。

まとめ

経済産業省が指摘する「2025年の崖」までタイムリミットが迫っています。とりわけデジタル分野は日進月歩で技術革新が行われているため、今DXに着手しなければ、いずれ時代に淘汰されることは明白です。(参考:DX(デジタルトランスフォーメーション)は推進するには?DX推進を阻む「IT人材不足」の課題と解決策

しかし、いざプロジェクトを始めようにも、デジタル活用に関するノウハウがなければ、議論が一向に前に進まず、なんとなく費用対効果の高そうなデジタルツールの導入程度に終わる可能性があります。

DXには、デジタル人財をはじめとしたリソースの確保は欠かせませんが、とりわけ多くの企業がデジタル人財の採用にあえぐ中、優秀な人材獲得は容易ではありません。そこで、ひとまずは専門アウトソーサーを活用し、DXコンサルタントとして関与してもらいながら、状況に応じて実際の業務まで外注するなど、ワンストップで依頼できるアウトソーシングサービスを利用してみるのも有効です。

キューアンドエーは、DXコンサルティングおよび、実務アウトソーシングまで手掛けています。コンタクトセンターサービスで培った、きめ細やかなサービス・品質を特徴としていますので、もしDX推進に悩みごとがありましたら、お気軽にご相談ください。


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キューアンドエー株式会社   坂倉 秀太
キューアンドエー株式会社   坂倉 秀太
複数のコンタクトセンター責任者を経て、キューアンドエーに2018年中途入社。 ICT(「情報通信技術」)に特化したコンタクトセンターとオンサイトサポートをメインに、大手クライアントのインサイドセールスプロジェクト責任者としてデジタル基盤から体制までを一から立ち上げる。 中期計画にて自社事業、提供サービスの展望を望み、 セールス領域で他企業と差別化できるデジタルマーケティング、 インサイドセールス確立を見据えプロジェクトを推進している。