ご利用サービス:DXコンサルティング
問い合わせ状況の可視化
同社の1,000種以上の取り扱い商品の中で、どの製品の問い合わせが多いかの状況をキューアンドエーが整理し、どの製品から着手すればよいか判断ができた。
FAQの整理と公開
約3ヶ月で内部FAQを公開、その後約2ヶ月で外部FAQも公開完了。検索性が高まったことで、新人育成&立ち上がりにも寄与する結果となった。
放棄呼率が10%以下に
従来約50%あった放棄呼率(Abandon Rate)が10%以下に低減。回答が確実に得られることで、80%以上の顧客が回答内容に満足している。
弊社は、ポンプや噴霧器を主体とした農業・園芸機器を専門に扱っているメーカーです。
取扱い製品は1,000機種以上。弊社のコールセンターには週末農家の方や専業農家の方をはじめ、ホームセンターなど販売店さんからも製品に関するお問い合わせがあります。
2019年当時は、オペレーターは3人で対応しており、1日60件ほどの対応能力しかなく、また弊社では簡易PBXの利用だったため、どのくらいの放棄呼率(Abandon Rate)だったのかも実態は把握できていない状況でした。お客さまである農家の繁忙期には50%超える月もあったと思います。
この状況から、コールセンターに繋がらないので、お客さまは営業所に問い合わせが回ってしまい、これが営業所の負担になっていました。
オペレーションが混沌としている状況には原因が2つあると考えていました。
1つ目は、お客さまの問い合わせに対応するための情報が散在していることです。
商品情報源は、ホームページやパーツリスト、SharePointなど複数のサーバで管理されており、カタログや取扱説明書、小さい商品冊子までアナログな情報もありました。それらのデータベースはファイル形式やフォーマットが統一化されていませんでした。 このため検索性に乏しかったのです。
2つ目は、お問い合わせ対応の属人化です。
各オペレーターがカタログの上に手書きでメモして情報を残すなど、ナレッジが完全に共有できていませんでした。またその状況でコールセンターのリーダー的存在のオペレーターが退職してしまい、ナレッジを一から立て直さなければいけない、そんな局面もありました。
「我々はお客さまに何ができるだろう」と考えた時、「お客さまのお困りごとを素早く解決できるサポートセンターになる」という目標ができました。
その目標に向けて、どのオペレーターでも高いレベルの対応ができる、お客さまのお困りごとをしっかりと把握する、適切な回答を提案でき、放棄呼率(Abandon Rate)を改善した、お客さまをお待たせしない頼れるコールセンターの実現を考えました。
それを実現させるためには、コールセンターのアウトソーシングも見据える必要があったので、キューアンドエーさんに相談させて頂き、コールセンターオペレーションのアウトソーシングを実行するためにはコールナレッジが不可欠であり、弊社にはその点が不足しており、まずはナレッジのデーターベース化に取り組む事の提案を頂きました。
最初に取り組んだことは、「まず実態を明らかにしましょう」と、コールセンターのアセスメントを実施することでした。キューアンドエーの担当者の方が3ヶ月間、弊社のコールセンターに常駐してくださり、全てのデータを集めたり、コールセンターのオペレーションを確認したり、各営業所の業務を分析したりと、様々な角度から現状を分析してくださいました。
アセスメントを実施した成果の一つが「製品別の問い合わせ状況」の可視化です。
弊社の製品は、エンジン系の製品やドラム缶のポンプなど20年前から売っているモデルもあり、取扱製品が1,000機種以上もあります。これだけ種類が多いので、もしFAQを構築しようとしてもコストと手間がかかり、FAQ構築が難しいと諦めていた原因です。
ところが、コールセンターのデータを解析してくださり「製品別の問い合わせ状況」が可視化されると、お問い合わせの80%は主要18機種が占めていることが明らかになりました。FAQ構築には、主要18機種から優先的に着手すればいいことが分かり、「1,000機種だと難しいけど18機種だけならFAQを構築できるかもしれない」と希望が持てました。
アセスメントを終えたキューアンドエーさんからの最終提案は、「情報データベースの整備を行うことで、各窓口で発生している社内向けの電話やり取りを削減し、その後、オペレーションルールの整備を実施した上で受付窓口を一本化しましょう」と、FAQ構築を後押ししてくれるものでした。アセスメントで示された「FAQシステムの構築ステップ」を指針にして、弊社も"頼れるコールセンター"実現のためにFAQ構築に動き出しました。
そして、"頼れるコールセンター"実現のためには3つのことを基本原則に掲げました。
それらを実現するため、ご提案いただいたFAQシステム「OKBIZ. For FAQ」(注1) を2019年の年末に導入することに決めました。
(注1):2022年9月に製品名が「PKSHA FAQ」に変更されています。
担当者の方が弊社に常駐してくださる中で、まずは主要18機種に関連する商品虎の巻やパーツリストを既存のSharePointに整理、格納することから始めました。
その後、QAの整合性を検証したり、運用ルールを策定したりと、当初予定した「FAQシステムの構築ステップ」を着実に進め、約3ヶ月で内部公開FAQをリリース、その後約2ヶ月で外部公開FAQをリリースすることができました。
その結果、社内専用の検索結果画面に 2種類の検索結果データを一画面表示する方法で、オペレーターが商品名と質問内容を検索すると、画面の左側には一般的なFAQが表示され、画面の右側には、仕様変更情報や部品表、取扱説明書の詳細など外部公開していない情報が出るようになりました。これにより、オペレーターはこの両画面を見てお客さまの質問に対して、検索結果から具体的な内容を的確に丁寧な回答をすることができるようになりました。
それから、簡易用語集を作成、掲載する事で専業農家のお客さまだけではなく、家庭菜園やガーデニングをやる一般のお客さまでも分かりやすいようにしました。
例えば、「サイホン現象」と言われても、初めて機器を扱うお客さまからすると意味が分かりづらいので、初めてのお客さまでも分かるような簡単な言葉に直し、500個ほどの簡易用語集を作りました。
また、お客さまが利用するサポートページの見せ方についても、キューアンドエーさんと議論を重ね、従来のサポートページを刷新し、アイコンで問い合わせ内容を簡単に探せるデザインを採用にしました。
2020年4月下旬にFAQを一般公開し、お客さまが弊社のFAQを活用して自己解決してくださる事でFAQ導入前の前年比で入電数が55%ほど削減されました。
FAQの訪問のお客さまが確実に増加し、時期によっては、入電数よりもFAQ訪問件数の方が多くなりました。従来の放棄呼率(Abandon Rate)は50%くらいでしたが、FAQを導入してから対応処理件数が増加し、今では10%を切るまでになり、併せて他部署への入電件数も激減し、営業所の負担も軽減されました。
またFAQを構築したことによって、思いがけない効果も出ました。コールセンターへ配属される新人の社員が辞めなくなったのです。FAQ導入以前は、新人が一人前になるには2ヶ月半ほどかかっておりましたが、現在は以前に比べてかなり早いと思います。これもFAQの効果ではないでしょうか。
さらに最近では弊社のFAQに対する調査を行ったところ、80%以上のお客さまが、FAQの回答内容に満足をしていただいていることもわかってきました。今後さらなる高みを目指してもっと利用していただけるFAQの構築を推進していきたいと考えております。
今後も電話問い合わせを軽減させ、さらにはお客さまの満足度を高めるような取り組みを推進していきます。例えば、営業時間外のお問い合わせについては、チャットボットとボイスボットの連携で対応することを模索しています。
さらに、お客さまが簡単に商品のFAQを探せるように商品にQRコードを貼ってスマホをかざすだけで直接商品情報やFAQにたどり着くことも考えています。
また、最近ではTV通販等で充電式洗浄機の販売が急激に伸びてきており、特にシニアの女性のお客さまが急激に増えてきております。IVR(自動音声応答システム)で初めて工進製品をご利用いただくお客さまと、業務専用で工進製品をご利用されているお客さまの対応を分けることも検討してみたいと考えています。
キューアンドエーさんの魅力は、アセスメントを通して社内の課題を可視化し、改善策の提案を行ってくれる顧客視点でのサポートでした。
弊社の規模では大手企業のようにすべて自力で改善を進めることはできないので、キューアンドエーさんみたいなシステム導入サポートを担ってくれる会社は、中堅・中小企業にとって非常にありがたい会社だと思います。
株式会社工進
参与 露木規雄 様
1948年の創業以来、「ポンプ一筋」の機械メーカーとして多種多様な商品とサービスを提供。売上規模は160億円を誇り、従業員はパートまで入れると約300名。工進の露木様は、2019年からコールセンターオペレーションの改革に取り組み、着実に成果を挙げています。
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