PBXの意味は?最近よく聞くクラウドPBXまでわかりやすく解説
PBXとは、電話回線を交換する機器のことで「構内交換機」とも呼ばれます。中には「PBXを利用する意味はあるの?」「PBXにはどんな機能があるの?」といった疑問をお持ちの方もいるでしょう。
現在オンライン環境が普及しているとはいえ、ビジネスの基本はまだまだ電話です。その中で、PBXはビジネス通話で必要不可欠なツールです。
そこで本記事では、PBXの基本機能、種類、そして最新話題のクラウドPBXまでくわしく解説していきます。
目次[非表示]
- 1.PBX(構内交換機)とは
- 2.PBXの基本機能
- 3.PBXとビジネスフォンの違い
- 4.PBXの種類
- 4.1.レガシーPBX(従来のPBX)
- 4.2.IP-PBX
- 4.3.クラウドPBX
- 5.コロナ禍におけるクラウドPBX
- 6.まとめ
PBX(構内交換機)とは
PBXとは「Private Branch Exchange=構内交換機」のことを指します。主にオフィスやコールセンターで設置されることが多く、複数の電話回線をひとつに集約します。
PBXを活用することで、内線同士の接続や、外線から内線への接続を制御します。PBXの中には、コンピュータがPBXの役割を果たす「UnPBX」というシステムもあります。
UnPBXは、プログラムの組み換えによりPBXの仕様を利用環境に合わせて変更できるといった特徴があり、主にコールセンターで導入されています。
PBXの基本機能
PBXには具体的にどのような機能があるでしょうか。ここではPBXの主な機能として、6つ紹介します。
外線制御
契約中の外線番号(親番号)と、同じ回線で共有する他の電話番号(子番号)を連携し、発着信を管理する機能です。外線制御を使うことで、特定の電話番号から外線を掛けることが可能になります。また、外線からの着信時には掛けた電話番号によって、着信する電話番号(子番号)を自動で振り分けます。
内線制御
PBXに接続している電話機同士で内線通話を行うことが可能です。同一回線の利用になるため、内線同士の通話料金は発生しません。
そのため拠点が複数ある企業や、部署ごとにフロアが異なる企業がPBXを利用することで通信コストを削減できます。
代表番号着信機能
代表番号着信機能は、代表番号宛ての着信をあらかじめ登録した電話機へ着信させる機能です。着信方法としては、登録したグループ内の空き番号から選択する方式や、番号順に着信させる方式があります。
注意点としては、登録するグループは市内局番が同一であること、iナンバーと重複できないなどの制限があります。
転送機能
PBXの転送機能を活用することで、着信をほかの電話機に転送することができます。
たとえば、
・特定の取引先から着信があった際に営業担当者の携帯電話に転送する
・打ち合わせ中や通話中の着信を別の電話機や携帯電話に転送する
といった使い方が可能です。
主な転送方法を以下にまとめます。
話中転送 |
着信時に通話中であった際、他の電話番号に転送する |
不在転送 |
営業時間外、担当者が休暇中に、他の電話番号に転送する |
着信選択転送 |
予め設定した条件を満たした電話だけを指定した番号に転送する |
応答遅延転送 |
設定した呼応数で応答がない場合に、他の電話番号に転送する |
保留転送 |
通話中に保留ボタンを押し、他の電話番号に転送する |
圏外転送 |
携帯電話が圏外状態にある場合、他の電話番号に転送する |
パーク保留機能
パーク保留機能とは、PBXに接続されているすべての電話機で取次できる保留機能です。通常の保留機能の場合は、保留した電話番号で再度対応するか特定の電話番号を指定した上で転送する必要があります。
しかし、問い合わせの中には誰に取次すればよいかわからない場合もあるでしょう。そうした場合にパーク保留を使用することで、保留後に社内で対応できるスタッフがいないか確認し、対応可能なスタッフが自身の電話機から対応することができます。
ダイヤルイン機能
ダイヤルインとは、電話回線1つで複数の電話番号を取得する方式のことです。ダイヤルイン契約をしていない電話回線は、1回線につき1つの電話番号です。コールセンター等の場合、数百〜数千という電話番号が必要になるため、多額なコストが発生してしまいます。
しかしダイヤルイン機能を利用することで電話回線の本数よりも、多くの電話番号を持つことができます。さらに、複数の電話番号を複数の電話回線で共有することもできるため、業務効率化にもつながります。
PBXとビジネスフォンの違い
PBXと混同されやすいシステムに「ビジネスフォン」があります。ビジネスフォンにも外線制御・内線制御といった共通点があるため、基本的な用途としては同じです。しかし両者では特徴・性質が異なります。両者の違いは以下のとおりです。
●回線容量の違い
ビジネスフォンの場合は小規模〜中規模事業者が中心だが、PBXの場合は中規模〜大規模の事業所が中心
●回線の種類の数
ビジネスフォンに比べてPBXの方が回線が豊富に備わっている。ただしメーカー、機種によって収容できる回線の種類は異なる
●機能数・得意分野の違い
ビジネスフォンは大規模向けの高度な機能が実装されていないことが多いが、PBXはより複雑なシステム構築まで可能
●システムの安定性
ビジネスフォンは、システム基盤や電源周りの耐久性が弱い。PBXは高性能なCPU実装や、高度なシステム基盤があり安定した動作を実現
●費用
ビジネスフォンは数十万円〜数百万円程度。PBXはは数百万〜数千万円程度
このように、ビジネスフォンとPBXは仕様が大きく異なるため、企業規模、用途によって使い分ける必要があります。たとえばコールセンターや病院、行政機関などはシステムダウンだけは避けなければなりませんので、そうした事業者ではPBXの導入が必須となるでしょう。
PBXの種類
PBXと一言でいっても大きく3種類に分けられます。それぞれ特徴やメリットが異なるため、目的や利用シーンに合わせて使い分けるようにしましょう。
レガシーPBX(従来のPBX)
レガシーPBXは電話回線を用いた旧タイプの従来のPBXのことです。
▼設置場所
オフィスやコールセンター内にPBX本体を設置して利用します。
▼メリット
電話回線さえあれば、インターネット回線は不要なので、セキュリティリスクや通信障害、停電などの影響を受けません。
▼注意点
導入時やオフィス移転時に専門業者に回線設置工事を依頼する必要があります。また、電話線が届く範囲でしか接続できないため、拠点ごと、フロアごとにPBXを設置しなければなりません。そのため、複数の拠点を持つコールセンターの場合は、導入や管理に掛かるコストが大きいことが課題となります。
IP-PBX
IP-PBXとは、IPネットワークを用いたPBXのことです。
▼設置場所
社内のLANに接続して利用します。
▼メリット
ADSLなどの電話回線を必要とせず、社内LANに接続するだけで設置が可能です。さらに各種設定もパソコン上で行うことができます。
インターネット回線を活用するため、同一拠点内だけでなく複数拠点での接続が可能です。そのため、通信コストの大幅な削減につながるほか、各種設定の利便性が向上するため業務効率化にもつながります。
▼注意点
インターネット回線を利用するため、通信環境によっては音声に乱れが生じるケースがあります。
クラウドPBX
クラウドPBXとは、IP-PBXが更に進化したクラウド環境で構築されるPBXです。
▼設置場所
不要
▼メリット
管理コストの削減につながる点になります。オンライン環境があればクラウド上でシステムが構築され、さらにデータベースもクラウドサーバー上に保存されるため、オフィスにPBX本体を設置する必要がありません。
さらにシステムのバージョンアップやセキュリティの強化といったメンテナンスも、システムベンダーが行うため、自社で対応する必要がありません。導入時の費用やシステム構築の手間がかからないため、手軽に導入出来る点も魅力です。
▼注意点
IP-PBX同様に安定した通信環境が求められることと、将来的にベンダー側でサービス提供を終了した場合、利用できなくなるといった点があります。
コロナ禍におけるクラウドPBX
コロナ禍でテレワークを導入する企業が増えています。オンライン環境が普及したことで、オフィスに戻らずとも大半の業務は外出先からでも行えるようになりました。そうした中でクラウドPBXに切り替える企業やコールセンターが増えています。
クラウドPBXを活用することで、場所を問わず業務を行うことができ、複数の回線・電話番号を使用しても低コストで運用することが可能です。
たとえばコールセンターであれば、都市部に大型拠点を作らずとも小規模のセンターを設置することも可能です。その結果、コールスタッフは自宅近くで通勤の負担を減らして働くことも可能です。もしくは拠点という概念すらなくなり、日本・海外どこにいても仕事ができるようになります。
今後コロナが収束したとしても、クラウド主体の働き方は今後主流になっていくと予想されています。特に国内は少子高齢化が進み、将来的な労働力不足が懸念されています。
限られた人材の中での獲得競争は一層厳しくなっていくはずですので、クラウドPBXの活用によるスタッフの働きやすさの実現は、他社との差別化にもなるでしょう。
まとめ
今回はPBXの基礎から、各PBXの特徴・メリットまで解説しました。PBXは複数拠点間の内線網をひとまとめにし、業務効率の改善に貢献するため企業にはなくてはならないシステムです。
ビジネスのコミュニケーション方法は多様化し、チャットやオンラインビデオで気軽にやり取りすることも可能になりましたが、電話コミュニケーションはまだまだビジネスの主流です。
そしてPBXもクラウド化が進み、より効率的・機能的なものへと進化していますので、PBXを導入していない企業やレガシーPBXを利用している企業は、本記事を参考に最新のPBXを体験してみてはいかがでしょうか。
当社キューアンドエー株式会社は、コンタクトセンターBPOを中心に企業のビジネスシーンをサポートしています。長年のコールセンター運営業務で培った経験をもとに、お客さまの課題やニーズに合ったPBX導入の支援も行っています。
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