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VOCとは?コールセンターで活用するメリットと活用時のポイント


※この記事はディー・キュービック株式会社のコラムより移行したものです。

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顧客満足度向上は規模や業種に関わりなく、すべての企業にとって重要性の高い課題といえるでしょう。顧客に提供すべきなのは単なる「商品」ではなく、「価値」であるべきだからです。
顧客満足度の維持向上においてVOCの活用は欠かせません。VOCとは簡単にいえば「お客様の声」であり、お客様の声を通じて企業は顧客のニーズや心理、考え方をできるだけ広範囲に渡って把握できます。今回は、VOCの意味や収集方法、さらには活用するメリットやポイントについても解説します。

目次[非表示]

  1. 1. VOCとは?
    1. 1.1.VOCの意味
    2. 1.2.コールセンターにおけるVOC
    3. 1.3.VOCの収集方法
      1. 1.3.1.コールセンター(コンタクトセンター)
      2. 1.3.2.SNS
      3. 1.3.3.お客様アンケート
      4. 1.3.4.チャット
      5. 1.3.5.あわせて読みたい
      6. 1.3.6.メール
  2. 2.コールセンターでVOCを活用するメリット
    1. 2.1.商品やサービスの品質向上につながる
    2. 2.2.顧客満足度の向上につながる
    3. 2.3.オペレーターのモチベーション向上につながる
  3. 3.コールセンターでVOCを活用する際のポイント
    1. 3.1.集めたVOCを目的によって取捨選択する
    2. 3.2.VOCを収集・分析する担当者を用意する
    3. 3.3.収集したVOCについて仮説を立てて検証する
  4. 4.コールセンターのVOCは、顧客満足度向上のためのカギ
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 VOCとは?

最初に顧客満足向上に不可欠な「VOC」とは何かについて、具体的に説明します。

VOCの意味

VOCとは「Voice Of Customer(ボイス・オブ・カスタマー)」の略称です。直訳すると「お客様の声」という意味で、自社のサービスや商品に対して寄せられたお客様の意見や感想のことです。
具体的には、ECサイトの口コミやレビュー、アンケート調査、お客様サポートセンターなどでいただいたクレームや不満が含まれます。主にBtoCなど一般消費者向けの場合に利用される言葉ですが、BtoBで企業向けの場面でも使用されることもあります。

コールセンターにおけるVOC

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コールセンターにおけるVOCとは、顧客からコールセンターに架電されたお問い合わせ内容や意見、感想などのことを指します。具体的には、問合せや連絡の発端となった商品やサービスに対するユーザーの感情・感想・意見・不満などが含まれます。ネガティブな声だけでなく、顧客からの褒め言葉、問い合わせ内容の傾向も分析対象になります。
例えば、コールセンターに問い合わせがある数多くの質問を分析すれば、共通項を見いだせます。それは顧客ニーズであり、要望ともいえるでしょう。そのVOCを商品開発に活かしたり、サイトのコンテンツに加えたりすることで、顧客ニーズを満たすことに繋がります。
従来、コールセンターは商品やサービスのアフターサービスやカスタマーサポートを提供する場所でした。しかし、近年ではVOCを収集するための最前線ともいうべき場であり、企業戦略ともつながる重要な位置を占めています。
コールセンターは企業にとって「アウトソーシングの代名詞」のように扱われてきましたが、近年そうした傾向も変わりつつあります。より効果的にVOCを収集し、分析し、商品開発や企業戦略にスピーディーに反映させるために自社内でコールセンターを設け、スタッフをトレーニングする企業も増えています。特に店舗を持たない事業者にとっては、顧客の声を直接聞ける唯一の接点ともいえるコールセンターの重要性は非常に高いといえるでしょう。

VOCの収集方法

VOCを収集するためのチャネルはさまざまですが、その中の5つについて説明します。

コールセンター(コンタクトセンター)

顧客の個人情報や、問い合わせ内容からVOCを収集する方法です。具体的には、CRM(Customer Relationship Management)を利用します。CRMとは、直訳すると「顧客関係管理」という意味で、自社が顧客とどのような関係を築いてきたのかを管理するためのシステムです。CRMには、顧客の購買情報や問い合わせ内容などが入力されています。
一口にCRMといってもさまざまなシーン、部署で利用されており、営業向け、マーケティング向けなど目的によって入力内容や操作方法が異なります。コールセンター向けのCRMは顧客情報や問い合わせ履歴、オペレーターの対応などを入力し、一元管理が可能です。CRMはVOCを顧客情報と紐づけやすい点が特徴です。
顧客満足度向上のためには、企業は顧客を「マス」としてとらえるのではなく、「One to One」でアプローチしなければなりません。そのためにCRMは効果的なツールといえます。

SNS

自社商品やサービスを使ってみた感想や感覚について顧客は自由につぶやき、発信します。そのため、顧客の本音を知るためにSNSの活用は不可欠です。しかし、SNS上のVOCはインフルエンサーと呼ばれる影響力の強いユーザーに左右されがちですし、悪ふざけの投稿なども含まれているため、慎重に考慮する必要もあります

お客様アンケート

コールセンターはVOC収集において重要ではありますが、すべての顧客が利用する訳ではありません。コールセンターで吸い上げられないVOCを拾い上げるのがアンケートです。アンケートはVOC収集方法として以前から用いられているため、多くの顧客にとって回答しやすいといえます。商品展示会などへの来訪者に対するアンケートや、無料のウェビナーの際にオンラインで回答できるもの、メールで配信されるものなど、さまざまな形をとれるのもアンケートの特徴です。
企業側がテーマや質問内容を設定できるため、欲しい情報やフィードバックをピンポイントで収集できるのがメリットです。しかし、答えやすいように質問内容を工夫したり、顧客にとって答えやすい形式を選んだりするなど、相手の目線に立った運用が大切です。

チャット

近年、コールセンターでは電話だけでなく、チャットでの対応も増えています。チャットのメリットはあらかじめ質問内容が定型化されているため、チャットボットによる回答も可能な点です。また、コールセンターへの問い合わせは躊躇しても、チャットなら利用してみようという人も多いため、広範囲に情報を収集できます。さらに収集したVOCはすべてテキスト化されているため、分析もしやすいといえるでしょう。

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メール

コールセンターの24時間365日対応は多くの企業にとって困難です。しかし、メールでの問い合わせは可能です。コールセンターの営業時間内に問い合わせするのが難しいビジネスパーソンにとっても、メールは思いついたらすぐに送れる便利なツールです。また、チャットと同様、問合せ内容がすでにテキスト化されているので、VOCの蓄積・分析する上でも扱いやすいといえるでしょう。

コールセンターでVOCを活用するメリット

前述したように、顧客満足度向上がVOCを活用する主な目的です。ここではさらに具体的にコールセンターでVOCを活用するメリットについて説明します。

商品やサービスの品質向上につながる

実際に商品やサービスを使用した顧客の意見は、品質改善の貴重な材料となります。リアルな声を参考にすることで、社内では見つからなかった問題点や新しいニーズを見つけることにもつながります。コールセンターでのVOC収集を通じて潜在的なニーズを発掘し、新しい商品開発やサービス向上につなげることができます
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顧客満足度の向上につながる

問い合わせ件数が多かったVOCは、サイトに「よくある質問(FAQ)」としてまとめておくことで、顧客を自己解決に導くことができます。結果的に人件費削減にもつながります。
加えて、国内マーケットでは、あらゆる商品やサービスがすでに飽和状態のため、新しい機能の追加や、性能を向上させるだけでは他社との差別化は困難です。差別化を図るためにはCX(Customer Experience:顧客体験価値)の向上が必須です。そのためには商品開発だけでなく顧客の感情的な価値を訴求すべきです。感覚的、情緒的な感情的価値は個別具体的なものであるため、コールセンターでの「One to One」のアプローチと親和性があります。

オペレーターのモチベーション向上につながる

コールセンターは単なるクレームの受け皿ではありません。顧客からの誉め言葉などポジティブな意見を収集できるため、オペレーターは業務がどのように役立っているかを実感できます。また、クレームなどのネガティブな意見をその時限りのもので片付けず、VOC分析を行うことで業務効率化や具体的施策につなげることで、オペレーターも自分の存在意義について実感できるはずです。

コールセンターでVOCを活用する際のポイント

コールセンターでVOCをひたすら収集するだけでは不十分です。VOCは確かに宝の山ですが、それを「宝の持ち腐れ」にしないためには以下のポイントを心がけましょう。

集めたVOCを目的によって取捨選択する

目的によって必要となるVOCは異なります。例えば、目的が商品開発なのか、CX向上なのか、業務改善なのかによって、VOCは取捨選択されなければなりません。例えば、顧客の不満やクレームは、オペレーター対応の改善に使用できますし、プロダクトへの意見は、商品やサービスの改善の参考にできます。
その際、KGIやKPIを設定して、適切なVOCを取捨選択することが大切です。KGI(Key Goal Indicator)とは「重要目標達成指標」で、KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」のことです。KGIがビジネスゴールを定量的に示した指標であるのに対し、KPIはそこに至るまでの過程を定量的に評価するための指標です。
漠然と「商品を改善して良くしたい」とか「サービスの質を向上したい」と考えるだけでは必要とするVOCの範囲も確定しづらいものです。例えば、KGIとして目指したい売上を設定し、達成するためにアクティブユーザー数をどのくらい増やしたいか、定量的な指標があって初めて、必要とするVOCも明確化するはずです。

VOCを収集・分析する担当者を用意する

VOCの収集、分析にはデータ分析の専門知識が必要になります。社内でリソースが不足しているようなら、アウトソーシングする方法もあります。ただ、あくまでも情報の収集・分析のみを任せるようにし、VOCを活用した課題抽出や戦略策定、ソリューション提案は自社で行います。

収集したVOCについて仮説を立てて検証する

収集したVOCに基づいて企業活動や業務を改善するためには、仮説を立てて検証し、PDCAサイクルを効果的に回す必要があります。また、仮説に基づいてより正確に検証するためには、担当部署だけでなく、分析結果を他部署にも共有・連携し、全社で取り組まなければなりません。

コールセンターのVOCは、顧客満足度向上のためのカギ

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自社が業界内で今後も優位性を保ち続けるためには、他社にはない価値を提供できることが重要課題です。そのためにはコールセンターで収集されるVOCを活用し、分析結果を実施に移すことで、顧客満足度の向上につなげることが大切です。
キューアンドエーの『VOC分析サービス』では、コールセンターに蓄積されたお客様の声の集計・分析から問合せ傾向や顧客ニーズを把握し、顧客対応の改善や新たなサービス開発に活用することが可能です。大量の通話・テキストデータからお客様が頻繁に発出する単語・キーワードを発掘(テキストマイニング)し、潜在的な要望や改善点を浮かび上がらせることができます。 お客様からの問合せやご意見を有効に利用できていないとお感じのご担当者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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