セールスイネーブルメントの立ち上げと導入を成功に導く5つのステップ
営業組織の改革や強化のための取り組みとして「セールスイネーブルメント」が注目されています。全国の20代~50代の新規法人営業を1年以上担当しているビジネスパーソンを対象にした「セールス組織に関する調査レポート」では、72.6%が「セールスイネーブルメントについて詳しく知りたい」と回答、また71.8%が「セールスイネーブルメントが将来必要になる」と回答しています。
これらの結果から、今後ますますセールスイネーブルメントの導入を検討する企業が増えることが予想されます。しかし一方で、「セールスイネーブルメントの取り組むステップがわからない」「立ち上げがうまくいっていない」と悩みを抱える担当者も多いかもしれません。今回の記事ではセールスイネーブルメントの立ち上げと導入を成功させる5つのステップを解説します。
目次[非表示]
- 1.セールスイネーブルメントとは?
- 2.日本企業の営業組織が抱えている課題
- 2.1.① ツール導入が目的化してしまっている
- 2.2.② 営業プロセスを管理・可視化できていない
- 2.3.③ 営業プロセスが顧客視点ではない
- 2.4.④ マーケティングと営業の溝
- 3.セールスイネーブルメントの重要ポイント
- 4.セールスイネーブルメントを成功させる導入ステップ
- 4.1.① 営業活動に関するデータの収集・整備
- 4.2.② 推進するための兼任・専任人材のアサイン
- 4.3.③ プログラムの開発と提供
- 4.3.1.【トレーニングコンテンツ】
- 4.3.2.【営業コンテンツ】
- 4.4.④ データの蓄積と営業成果の検証
- 4.5.⑤ 経営層との結果共有とレビューサイクルの確立
- 5.セールスイネーブルメントの対応はキューアンドエーの営業DXコンサルティングサービスにお任せください
セールスイネーブルメントとは?
セールスイネーブルメントとは、営業活動において中長期的かつ継続的に成果を挙げることを目的とした、営業組織の強化や改革のための総括的な取り組みを指します。
営業組織強化や改革のための活動は、従来の手法では分散しがちで情報の共有や効果測定がしにくい課題がありました。セールスイネーブルメントを取り入れることで営業組織強化などの活動を統括しやすく、またそれにより活動の効果測定を俯瞰的に行うことが可能となります。その結果、営業活動の最適化につながります。
日本企業の営業組織が抱えている課題
セールスイネーブルメントが注目されている背景には、多くの日本企業の営業組織が抱える課題に対し解決する糸口となる可能性があるからです。ここでは4つの課題を例に、セールスイネーブルメントが期待される効果を解説します。
① ツール導入が目的化してしまっている
営業組織強化のためSFAやMAなどのデジタルツールの導入を検討する企業も増えていますが、ツールを導入することが「手段」ではなく「目的」となり、上手に活用できないといった課題を抱える企業も少なくありません。
「セールス組織に関する調査レポート」では、全体の42.7%が「自社で直近3年以内にSFA/CRMツールを導入している」と回答した一方で、38.8%が「入力が面倒」「活用しきれていない」と回答しています。
(出典:PRTIMES「【2021年度】セールス組織に関する調査レポートを公開!」)
営業戦略立案のためにデータ分析をしたくSFAツールを導入するも、目的が「データを蓄積すること」にすり替わってしまうと当然ながらSFAツールを営業組織の強化や改革に活用することはできなくなります。
「分析できる人材がいない」「適切なツールが選ばれていない」などの理由からツール導入が目的化してしまう課題を解決するために、セールスイネーブルメントでは「人材の育成」「ツールの開発、選定」などの施策をおこないます。
② 営業プロセスを管理・可視化できていない
営業プロセスを管理・可視化できていないといった課題を抱える企業もいます。管理がなされないことで営業活動の課題や改善点が把握できない、また各営業担当者の活動状況を組織で共有できず営業の属人化に繋がるといった問題の原因になりえます。
セールスイネーブルメントを取り入れ、営業プロセスを管理・可視化する仕組みを整えることが営業活動の状況把握や情報共有のしやすさにつながり、結果的に営業プロセスの最適化につながります。
③ 営業プロセスが顧客視点ではない
顧客視点ではない営業プロセスが仮に組まれている場合、顧客の課題やニーズを把握できず、効果的なアプローチがおこなえないといった課題を抱える可能性があります。セールスイネーブルメントによって顧客視点の営業プロセスを構築することで、顧客の課題やニーズを踏まえたうえでの案件化や成約の可能性を高めるアプローチにつなげられます。
④ マーケティングと営業の溝
マーケティング部門がリードを獲得し、営業部門がリードへアプローチをおこない、案件化に繋げるといった各部門が連携し合い、営業活動がおこなわれることが効率的であり望ましいです。しかし、マーケティングと営業の間で関係性の問題で溝ができてしまうと、うまく連携が取れず成約率が下がるなどの悪影響が出る可能性も高まります。
これらの課題に対し、セールスイネーブルメントを取り入れ両部門の情報を共有できる仕組みを構築し、両者の溝を埋めることで営業活動の適正化につなげられます。
セールスイネーブルメントの重要ポイント
セールスイネーブルメントの重要なポイントは、顧客の課題解決を軸とした営業活動がおこなえることです。ほかにも営業活動においてさまざまなメリットが得られます。
セールスイネーブルメントを導入するメリット
セールスイネーブルメントを導入することで、「営業活動の生産性の向上」「売り上げ増加」といったメリットが得られます。そのためセールスイネーブルメントによって営業担当者のスキルが上がり、営業プロセスをスムーズに進められ営業活動の時間が大幅に削減されます。その結果、売り上げの増加につながる可能性も高くなる相乗効果が生まれます。
■セールスイネーブルメントの概要や重要性、導入するメリットについては以下で詳しく解説していますので参考にしてください。
→セールスイネーブルメントとは?概念やメリットについて解説!
セールスイネーブルメントを成功させる導入ステップ
セールスイネーブルメントを成功させるためには、5つのステップで導入を進めていきます。
それぞれのステップについて解説します。
① 営業活動に関するデータの収集・整備
最初におこなうのは、営業担当者の営業活動や顧客、受注や成約状況に関するデータの収集と整備です。営業データは、SFAやMAなどデジタルツールを活用し、後のステップで出てくるトレーニングプログラムの構築に活用する目的で収集、整備をします。
以下のポイントをふまえて営業データの見直しをおこないながらデータの収集を進めましょう。
- 顧客視点の営業プロセスにする
- トップセールスの営業担当者をロールモデルにする
-
営業担当者からヒアリングをおこない、営業プロセスやアクションの効果を共有する
データ収集完了後、以下の手順でデータの整備をおこないます。
- 営業フローの設定
- 管理する営業活動項目の設定
- マネジメント層がリアルタイムで管理できる環境整備
データの整備をおこなう上で重要なポイントは
「データの共有が容易にできること」
「KPIなどの指標が確認しやすいこと」
の2点です。
誰が見てもすぐに、定めたKPIに対する進捗が把握でき、データ共有しあえる環境を整備することで、継続的なデータ収集や管理につなげられます。
② 推進するための兼任・専任人材のアサイン
セールスイネーブルメント推進のための人材をアサインします。以下のポイントを踏まえて人材を選定しましょう。
- マインドセットは「育成が好き」または「育成に興味がある」人材
- スキルセットは「体系化思考(オペレーション化する能力)」「コミュニケーション能力」の人材
- 営業ノウハウや実践的なスキルを持つ人材
上記の中で特に重要な点が「育成が好き・または興味がある」といった育成マインドを持つ人材を選ぶことです。育成マインドのある人材は、自分のやり方や方法を押し付けず対象者の成長を促す最適な方法で教育をおこなう傾向にあるため、効果的な営業人材のトレーニングが実現しやすいのです。
人材を確保する方法は幾つかあります。例えば以下の3つの方法が挙げられます。
- 社内の適任者に兼任してもらう
- 専任人材を採用する
- 外部の専門企業に依頼する
なおセールスイネーブルメント推進のための人材の人数は、営業組織全体の人数の1~3%が適切と言われるデータもあります。自社の状況に合わせた人選方法を選びましょう。
③ プログラムの開発と提供
セールスイネーブルメントでの人材育成に活用する、実践型のプログラムを開発します。開発するプログラムは、実際の営業活動や現場課題に即した実践的な内容が最適です。ここでは、「トレーニングコンテンツ」と、顧客へ提供する「営業コンテンツ」のふたつを解説します。
【トレーニングコンテンツ】
パフォーマンスの高い営業担当の行動やアプローチ方法から分析したデータを活用し、「Eラーニング」「紙ベースのコンテンツ」「レクチャー形式」といったトレーニングコンテンツを作成していきましょう。
作成するトレーニングコンテンツの内容は、「成約率の高まるアプローチ方法」など受け手側である営業担当者に価値のある内容を選びましょう。各営業担当者がコンテンツ内容を積極的に取り入れるようになり、「自分ごと化」することで営業プロセス内での課題解決に目を向け、コンテンツを積極的に活用するようになり、営業成果につながりやすくなるでしょう。
【営業コンテンツ】
商談の際に持参する提案資料や事例資料や資料テンプレート等を「営業コンテンツ」と一般的に呼びます。
営業コンテンツを作成する際のポイントは「必要に応じた営業コンテンツをすぐに検出し、利用できること」です。たとえば営業担当者が必要に応じてコンテンツを利用できるようにツールで一元管理する、ポータルに格納する、といった方法があります。
④ データの蓄積と営業成果の検証
各プログラム実施後、後々のトレーニングプログラムの改善に必要になるため営業活動の成果や行動データ、トレーニングプログラムを実施したメンバー、日付などの履歴を残しておくこと、さらにプログラムの成果を検証するためにKPIを設定しておくことが重要です。
蓄積したデータや履歴をトレーニングの実施前と実施後に比較するなどして、トレーニングプログラムの改善に活かしましょう。KPIは組織全体のほか、各コンテンツ別に指標を決め、KPIを設定することでより成果を正確に検証できるようになります。
⑤ 経営層との結果共有とレビューサイクルの確立
検証したデータをプログラムの成果として経営層へ報告し、次の取り組みにむけた議論をおこないます。経営層に成果を共有する理由は取り組みに対する経営層の賛同を得るため、また営業組織に対して周知をおこなってもらうという2点の目的があります。
共有した成果は、必要に応じて改善をおこないPDCAサイクルを回します。この際のポイントは、あらかじめPDCAサイクルを回す仕組みを構築しておくことです。そうすることで、運用のサイクルが加速化し、営業組織の強化や改革への取り組みが効率化します。必要に応じて改善をおこない、次の課題解決へのプログラムを構築し実践する、の流れを繰り返しながら、セールスイネーブルメントを運用していきましょう。
■セールスイネーブルメントに取り組んでいる企業の成功事例はこちらで紹介しています!
→セールスイネーブルメントの成功事例5選!営業活動を効率化させるポイントも解説
セールスイネーブルメントの対応はキューアンドエーの営業DXコンサルティングサービスにお任せください
セールスイネーブルメントの重要性や導入までの5つのステップを解説しました。セールスイネーブルメントを導入することで、営業組織の抱える課題解決のほか、営業活動の効率化、売り上げアップなどのメリットも得られます。自社の営業組織の強化や改革のために、5つのステップに沿ってセールスイネーブルメントを構築しましょう。
「自社にセールスイネーブルメントを担当する適任者がいない」「セールスイネーブルメントの仕組みがうまく構築できない」といったお悩みをお持ちの場合、キューアンドエーにぜひご相談ください。弊社の「営業DX今セルティングサービス」では、セールスイネーブルメント対応を含め各企業の課題解決に向けた戦略策定、継続的なPDCA、プロジェクトの進行、運用をワンストップで支援します。お問い合わせはこちら。
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