電話対応を約20%削減
代表電話の受付業務をAIで自動化。対応時間は全体で約20%削減され、各部門の職員が市民対応に集中できる環境を実現できた。
予約・案内を自動化
性感染症検査の予約や感染症に関する案内も、AIが正確かつスムーズに対応。予約ミスや説明漏れといった人的エラーのリスクがなくなった。
業務効率化と品質を両立
市民対応の質を落とすことなく業務効率化を実現。AI導入後、市民からの苦情はなく、自治体全体のサービス品質向上とDX推進に貢献。
業界: 自治体 保健所
事業内容: 市民向け総合保健サービスの提供
案件概要: 「保健所代表電話受付」「性感染症検査予約」「感染症情報提供」をAI電話自動応答サービスで自動化
新型コロナウィルス感染症の流行時に市民からの問い合わせが殺到し、業務がひっ迫するという経験をしました。将来、新たなパンデミックが発生しても、優先度の高い業務を的確に対応できるように備えなければいけないという課題を持ちました。
保健所の電話回線は10回線以上用意していますが、コロナウィルスの流行時は回線が全て埋まり、職員は電話対応に追われました。電話を受けた後の事務作業をする時間もないほどに。これではいけないとコロナウィルスに関する問い合わせ窓口としてコールセンターを開設したのですが、コールセンターの回線も埋まってしまいました。コールセンターも保健所も電話が鳴りやまないという状況です。
問い合わせの多くはコロナウィルスに関するものでしたが、飲食店の営業許可に関する申請や栄養士による栄養指導などもありました。通常業務に関する問い合わせも滞りなく対応していかなくてはなりませんが、当時の状況で通常業務に関する問い合わせに対応することは不可能でした。せめて問い合わせの入り口で感染症と通常業務を切り分けることができれば、市民サービスの向上につながると考えていました。
保健所全体が問合せ対応により疲弊していく様を目の当たりにして、AIが問い合わせ内容を理解し、自動で応答してくれるというサービスを提供している事業者を探すところから始めたわけです。「代表電話にかかった用件の振り分け」「性感染症検査予約」「麻しんなどの感染症情報の提供」の場面に絞って、システム導入の検討を開始しました。
昨今スマホが普及していることもあり、実際に自分がスマホで操作している場面を思い浮かべたときに、プッシュボタンで何番、何番と押して会話を進めていくのはどうにもやりにくい。ボタンを介さず、音声で操作を進めていくやり方が市民にとって利便性が高いと考え、ボイスボットに決めました。そしてボイスボットを提供する事業者を比較していく中で、キューアンドエーのAI自動電話応答サービスを知りました。
導入にあたっては「かかってきた電話の内容によって振り分ける機能」「感染症の検査予約を職員の手を煩わせずに自動的に行えること」「導入後のメンテナンスがシンプルで容易であること」の3点を重視して比較検討しておりました。これらの条件をバランスよく満たしており、さらにコスト面の優位性が高いこと、会話のシナリオを変更する必要が生じた際にフレキシブルに修正が可能であるという柔軟性、予約システムとの連携といった機能面も魅力的でAI電話自動応答サービスに決めました。
キューアンドエーの開発・営業担当者は、私たちの○○をしたいという漠然とした要望に対して、できる・できないといった明確な回答をすぐに出してくれました。要望が実現可能である場合には、さらにこういった方法もあると追加の提案をしてくれるので、プロジェクトをスムーズに進めることができました。
今回、代表電話に入ってくる問い合わせに対して自動応答で対応するわけですが、関連部署へ電話を振り分ける際に、具体的なご用件をお話しいただければ各係につながるようにキーワードを設定しています。キーワードによる着信の振り分けが設定したとおりに遷移するかを確認する必要もあり、振り分け先となる各係の理解と協力を得る必要がありました。当初は振り分け先となる各係の担当者から「仕組みが分からない」「こちらで何か面倒なことが発生するのではないか」といった不安の声も散見されましたが、実装後はそういった声も届くことはありませんでした。
他方、自動応答を導入した結果、市民の不利益が生じてしまうのは絶対に避けたいと思っていました。AIを活用したシステムを導入した結果、職員につながるまでの時間が長くなってしまっては本末転倒です。そういった事態を避けるためにも、案内のわかりやすさとAI応対の時間をできる限り短く収めることのバランスには苦心しました。特に、性感染症検査予約のシナリオについては確認事項が多く、会話の中で何段階もの説明が必要になります。AIに話させる言葉選びや言い回しは、キューアンドエーのエンジニアの助言を参考にしながらわかりやすさと簡潔さのバランスを慎重に調整しました。
市民対応を優先しながらも業務を効率化できています。例えば、性感染症検査予約を自動応答で受付けるシナリオでは、予約希望者から希望日時を正しくヒアリングし、保健所側から伝えなければいけない注意事項が決まっています。「結果は対面でお伝えするのでもう1回来てください」とか、「こういった条件に当てはまる方は検査を受けられません」といった内容を漏れなくお伝えする必要がありますので、対応に時間がかかってしまいます。担当者が電話対応していたときは、その間他の業務を行うことができませんでした。AI電話を導入したことで人を介さずに予約を完結することができるようになり、こういった応対時間を他の作業に充てて業務の効率化を図ることができるようになりました。
導入後の保健所へかかってきた電話の件数を見てみると、約50%が企画庶務係にかかっています。企画庶務係にかかっていた数百件の電話を他の係で取っていたことを考えれば、電話対応に割く時間は20%程減っています。
AIによる電話の振り分けが概ね順調であることから、他部門からは担当外の問い合わせ対応が減り、業務の効率化が実現できたことを評価する声も聞いています。また、市役所本庁舎の職員からは、AI電話での業務効率化に興味を示す声がありました。
正直なところ導入前は自動応答を取り入れることによって、市民の皆さまが不便になってしまうのではないか、という懸念は根深く残っていました。しかし、実際導入してみるとAIに電話応対をさせることに対する批判・苦情は一切ありません。世の中の流れとしても、自動化というのは、我々が思っていた以上に当たり前になってきているのかな、と感じます。
現在、AIによる応答のみで対応が完結できるのは、「性感染症検査予約」と「麻しんに関する問い合わせ」のみとなっていますが、「飲食店等の営業許可申請に係る問い合わせ」についてもAI対応ができるように構想しています。
今後もパンデミックのような不測の事態は起こり得ますし、その際に業務がひっ迫することは、頭の片隅に置いておかなくてはならないと思っています。AI電話の対応範囲を広げながら有事の事態が発生した場合に備え、保健所全体の業務について、平時と同様の行政サービスが提供できるように活用の幅を広げていきたいと考えています。
AI電話自動応答サービスは、100社以上のコンタクトセンター運用実績をもとに生まれた電話対応自動化ソリューションです。
「代表電話の応対」「注文受付」「予約受付」といった定型的な会話や、決まった内容を伝える「発信業務」はAIに任せ、人は複雑な会話やコア業務に集中しましょう。
他にもたくさんの活用事例がありますので、業務の効率化をお考えでしたらお気軽にお問い合わせください。
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