コールセンターが抱える課題と対応策をわかりやすく紹介!
コールセンターは電話を通じて、顧客との関係性構築や商品・サービスの成約につなげる役割を持ちます。コールセンター業界はコロナ禍でも伸びている業界であり、企業各社では電話業務のアウトソーシング化が進んでいます。
今後さらにコールセンター市場は成長していくとみられていますが、市場が活発化すれば他社との競争も強まる可能性があります。
そのため、今のうちから準備を進め、独自の強み・優位性を持つことが重要です。しかしながら、「具体的な課題がわからない」とお悩みの方も多いはずです。
そこで本記事では、一般的にコールセンターが抱える課題と解決手法について解説していきます。情報として知っておくだけでもいずれ役立つ可能性がありますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次[非表示]
- 1.コールセンター・コンタクトセンターの役割
- 1.1.コールセンターの役割
- 1.2.コンタクトセンターとの違い
- 2.コールセンターのよくある課題とは?
- 2.1.リモートワークの対応
- 2.2.人材の確保・採用
- 2.3.オペレーターのモチベーション
- 2.4.人材(リソース)不足
- 2.5.オペレーターの育成(SVも含む)
- 2.6.応対品質の差が生じる
- 2.7.電話がつながりにくい・放棄呼が出てしまう
- 3.コールセンターの課題をどう解決するか?
- 3.1.現状課題の洗い出し
- 3.2.方針(優先順位)を決める
- 4.課題解決に着手する
- 5.まとめ
コールセンター・コンタクトセンターの役割
まずは、コールセンターの役割について解説します。課題とは、ゴールと現状の間に潜む問題のことです。正しい課題設定のためには、自社が創り上げたいコールセンターのイメージを明確にする必要があります。コールセンターの役割を正しく理解し、今後どういったコールセンターを作り上げていくかの検討に役立ててください。
コールセンターの役割
コールセンターは、電話を通じて顧客に商品やサービスを紹介したり、受注・成約に繋げる部門のことです。コールセンターには、インバウンド(受電)、アウトバウンド(発信)に分かれており、目的によって業務内容が異なります。
コールセンターの主な役割は次の通りです。
・一般のお問い合わせ
・サービスの注文
・製品案内
・製品サポート
・テクニカルサポート
このほかにも、クレーム対応などもコールセンター業務のひとつです。
コールセンターに所属するオペレーターは顧客と電話越しで対応するため、言葉遣いや声のトーンといった接遇・マナー面や、商品・サービスの基礎知識・専門知識といったことまで身につける必要があります。
コンタクトセンターとの違い
コンタクトセンターは、電話以外に、メール・Webサイト・チャットボットなど、あらゆるチャネルからのお問い合わせ対応を行う部署のことです。
コールセンターが電話のみの対応だとすれば、コンタクトセンターは様々な対応方法を持つ部門と捉えると良いでしょう。
コンタクトセンターを「カスタマーサポートセンター」「ヘルプデスク」「お客さま相談窓口」と呼ばれることもありますが、目的としてはどれも同じです。
コールセンターのよくある課題とは?
コールセンター運営において何より大切なのは「人材」です。人がいなければコールセンターの運営は成り立ちません。そのため、コールセンターを運営する事業者にとって、人材に関する悩みは最も大きいものといえます。
また一言で人材といってもさまざまな課題があります。ここでは、具体的にコールセンターにありがちな課題を詳しく解説します。
リモートワークの対応
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、多くの企業ではリモートワークの導入が進んでいます。当然コールセンター事業者においても、リモートワーク化が実現できれば、人材不足の解消や、スタッフの就業満足度向上が期待できます。
しかし現実として課題に挙げられるのは、「回線品質」「セキュリティの確保」「業務マネジメント」「モチベーションマネジメント」があります。
オフィス内にいれば、管理者は適宜アドバイスしたり、スタッフ同士の意見交換などできますが、在宅の場合は従来と大きくやり方が変わるため、全面リモートワーク化に足踏みする事業者も少なくありません。
人材の確保・採用
コールセンター事業者にとって、人材確保は事業課題に直結するといっても過言ではありません。ロボットで代替出来ないため、いかに優秀な人材を効率的に確保するかは至上命題ともいえます。
例えば、通勤アクセスが良い場所はオフィスの賃料も高くなります。反対に賃料を抑えるためにアクセスが不便な場所では求人広告コストがかさんでしまいます。
オペレーターのモチベーション
いくら人材確保をしても、定着率が低ければ意味がありません。離職理由は人によってさまざまですが、多くの場合は仕事に対する適切な評価・職場の雰囲気・柔軟な働き方に対する対応が挙げられます。
特にコールセンター業務は、電話越しに顧客対応を行うためストレスが掛かる仕事でもあります。そのため、オペレーターのモチベーション管理も定着率を高めるために非常に重要です。
人材(リソース)不足
コールセンターは人がいなければ成り立たないビジネスです。
いくら依頼業務が増えたところで、人材不足に陥ってしまえば、既存スタッフに業務のしわ寄せが起きてしまい、スタッフの定着率にも影響します。
運営者として適正人員数を把握し、オペレーター1人あたりの業務生産性を正しく管理することが求められます。
オペレーターの育成(SVも含む)
オペレーターの育成はコールセンター事業の要といえます。コールセンターは、一人の優秀なオペレーターの存在よりも、だれが対応してもきちんと受け答えができるような組織を目指すべきだからです。
そのため、採用した人材を適切に育成し、早期に1人前のオペレーターに育てる仕組みを作ることが大切です。また、オペレーターをマネジメントする立場である、SV(スーパーバイザー)の配置・育成も大切です。
コールセンターは複数の拠点を作ることが多いため、現場責任者として拠点を率いるSVの育成は事業成長にも直結します。
応対品質の差が生じる
オペレーターの成長を個人努力に委ねたり、一人ひとりに都度指導する形では、オペレーターの応対品質に差が生じてしまいます。組織としての対応力を高めるためには、オペレーター間の応対品質の差をなくすことを考えなければなりません。
例えば、勉強会や定例会の実施や、日常の情報共有、マニュアル作成などの仕組み作ることで、組織全体の対応品質を均等に保つことができます。
電話がつながりにくい・放棄呼が出てしまう
コールセンター事業で最も避けなければならないのは、電話がつながりにくい状態です。
特に、オペレーターにつながる前に顧客が切断したり、コールが集中したときにシステムによって切断されてしまう「放棄呼(アバンダン・コール)」が発生するケースもあります。
放棄呼は、コールセンターにおいてつながりやすさを表す指標として重要視されています。放棄呼が頻ぱんに発生するとユーザーからの不満増加につながりますので、改善すべきポイントです。
コールセンターの課題をどう解決するか?
コールセンター運営する上で数多くの課題があります。それらの課題をどのように解決していけばよいのでしょうか。ここでは、コールセンターの課題解決方法を手順に沿って解説します。
現状課題の洗い出し
はじめに現状の課題を洗い出します。具体的な方法としては、マニュアルや帳票類の閲覧、コールセンター現場での観察、在籍オペレーターへのインタビュー・アンケートなどが挙げられます。
より客観的に調査をするのであれば、外部のコンサルタントや調査会社に依頼するのも有効です。
課題例
オペレーターの離職率を下げたい
総コストに占めるの人件費率を10%下げたい
入電に対するあふれ呼が多く応答率を改善したい
どのように解決するかは置いておいて、まずは自社のセンター運用の実態を元に課題をすべて洗い出します。
方針(優先順位)を決める
課題がすべて出したら、課題に優先順位をつけます。優先順位の付け方は、重要度×緊急度の4つのマトリックスに課題を分類していくと整理がしやすくなります。
例えば、クレーム発生に繋がる課題は、緊急度も重要度も高いため、最優先課題といえます。特に意識して取り組むべき課題は、緊急度が低く重要度が高い課題です。
例えば、「マニュアルの整備」「SVの研修」などです。こうした課題は、やらないといけないとはわかっていても、日常の慌ただしさからつい後回しにしてしまいがちです。しかし、意思を持って優先的に取り組むことで、組織としての成長に繋がります。
課題解決に着手する
課題と優先順位を決めたら、ゴールと計画を立てて実行します。
その際、具体的なゴールと期間を明確に決めて、逆算して計画を立てることが大切です。その上で、進捗状況の確認・問題が生じた場合の調整を含めて、定例会議を開催するなど、PDCAを回していくようにしましょう。
以下、課題解決に役立つ手法をいくつか紹介します。
アウトソーシング
アウトソーシングとは、いわゆる外部機関への外注です。自社の人材不足が深刻な場合は、業務の一部をアウトソーシングすることで、業務負荷を軽減することが可能です。
特に繁忙期などは急ぎで採用することも難しいため、アウトソーシングを上手く活用することで、一定期間の業務を乗り切ることができます。
ただし、アウトソーシング活用が常態化してしまうと、外注コストがかさんでしまい収益が落ちてしまいますし、第三者機関に自社の情報を提供することのリスクも理解する必要があります。
外注費用の相場としては1オペレーター約10万〜30万円/月ほどになります。
人材派遣
人材派遣は、人材派遣会社に登録している(あるいは人材派遣会社で雇用されている)人材を派遣社員として受け入れる方法です。人材派遣会社に必要な人数・期間・任せたい業務を相談することで、見合った人材を派遣してくれます。派遣のメリットは、期間を決められることです。例えば、1カ月、3カ月など期間を決めることで、人材の補填が可能です。
ただし派遣の場合は、直接雇用に比べて派遣会社に支払う時給が割高なので、アウトソーシング同様に期間をあらかじめ決めておくと良いでしょう。
また派遣の場合は、スタッフに業務の指揮命令を直接できないため、業務内容については派遣会社の担当者と相談の上決めて行く必要があります。人材派遣費用の相場は、オペレーターで時給1500円〜2000円程度、SVで2000円〜2500円程度となっています。
チャットボット
チャットボットとは、「対話(chat)」「ロボット(bot)」の掛け合わせによって生まれたサービスで、人間に代わりプログラムによって自動応答するサービスです。
Webサイトなどで、「何かお困りはありませんか?」とポップアップを表示させ、そこにユーザーがメッセージを入力したり、あらかじめ設定されたリストから、質問を選ぶだけでチャットボットが自動で返答します。
少し前までは単純な回答しかできませんでしたが、近年AI技術が目覚ましく進化を遂げており、現在ではより複雑で自然な返答も行えます。
チャットボットのメリットは24時間365日対応できること。かんたんな質問などは自動化し、オペレーターは複雑な質問に対応することで、大幅な業務効率化が期待できます。
チャットボット導入費用相場は、安価なもので月額1〜5万円程度、複雑な返答が可能なハイスペックなもので月額100万円程度掛かるなど様々です。
IVR
IVR(Interactive Voice Response)とは、音声案内によって自動で応答するシステムのことです。音声ガイダンスや、目的に応じた番号入力の案内を流し、対応するオペレーターに電話を振り分ける仕組みです。
オペレーターはどういった理由で顧客が電話してきたかがある程度事前に把握できるため、負担軽減にも繋がります。ただし、顧客側はガイダンスに沿って番号を入力していかなければオペレーターにつながらないため、不満を感じやすくなるといったデメリットがあります。
IVRの費用相場は、数十万円〜数百万円まで幅が広いことが特徴です。自社の規模や運用目的にあわせていくつかのIVR製品の比較検討を行うと良いでしょう。
CTI・CRM
CTI(Computer Telephony Integration)とは、「コンピューター電話統合」ともいわれ、コンピューターと電話・FAXを統合する技術のことです。またCRM(Customer Relationship Managemen)とは「顧客関係管理」のことで、一般的に顧客データベースを指します。CTIとCRMを連携させることによって、顧客から入電が合った時に電話番号情報から過去の会話履歴・取引情報などを画面上に自動表示させることが可能です。それによって、よりきめ細やかサービスの提供が可能になります。
FAQシステム
FAQシステムとは、よく顧客から問い合わせがある内容などをナレッジ化して、データベースに蓄積することで質問応対業務の効率化を図るシステムのことです。
これにより経験年数によるスキルのばらつきを防ぎ、入社間もない新人スタッフでも短期間でベテランスタッフ同様の対応ができるようになります。
またFAQシステムにはレポート機能も備わっているため、どういったお問い合わせが多いか、どのページが見られているかなどの把握が容易で、より詳細な分析・検証を行えるようになります。
FAQシステムの費用相場はサービスによって様々ですが、クラウド型であれば月額数万円程度、オンプレミス型であれば数百万円かかる場合もあります。
まとめ
本記事では、コールセンター運営における課題から、課題解決の手順、具体的な課題解決方法まで解説しました。
コールセンター運営において、特に重要なのは「ヒト」に関する問題です。企業として業務効率化を図り、生産性高く事業を動かすためには、自社の人材がやるべきことを見極め、それ以外の部分は外注やITツール活用による自動化を図ることが重要です。
特に、AIをはじめとしたIT技術の進化は著しく、中でもクラウド型サービスであれば、月額数万円ほどで導入することができます。
どういったサービスを導入すべきかお悩みの方や、そもそも自社はどのような課題を解決すべきかわからないとお考えの方は、まずは専門機関に相談することから始めるのもおすすめです。
当社キューアンドエー株式会社は、コールセンター・コンタクトセンターの構築・運営事業を手掛けており、コールセンター事業者様へのコンサルティングや、市場調査・課題調査などのマーケティングも手掛けています。相談費用は無料ですので、コールセンター運用にお悩みの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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