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業務可視化のメリット|プロセス改善と効率化を実現する方法


※この記事はディー・キュービック株式会社のコラムより移行したものです。
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業務可視化とは、As is(現在の状態)からTo be(理想の状態)への前進を実現するための手法です。”「As is」と「To be」とは?業務可視化と業務改善のポイント”のコラムでは、As isとTo beの概念について触れ、その重要性について解説しました。今回は、業務可視化に特化し、メリットやその具体的な方法について詳しく見ていきます。

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「As is」と「To be」とは?業務可視化と業務改善のポイント

目次[非表示]

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  1. 1.As isと業務可視化の違いとは
  2. 2.業務可視化のメリット
    1. 2.1.業務の理解と分析の向上
    2. 2.2.効率化と生産性向上
    3. 2.3.リスク管理
    4. 2.4.顧客満足度の向上
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  3. 3.業務可視化の具体的な方法
    1. 3.1.業務プロセスの洗い出し
      1. 3.1.1.1. 主要なプロセスの特定
      2. 3.1.2.2. 各ステップの詳細な記録
      3. 3.1.3.3. データ収集方法の決定
    2. 3.2.フローチャートの作成
      1. 3.2.1.1. フローチャートの目的と範囲の設定
      2. 3.2.2.2. フローチャートの基本構造の決定
      3. 3.2.3.3.  フローチャート作成ツールの選定
      4. 3.2.4.4. フローチャートの描画とレビュー
    3. 3.3.現状の分析
      1. 3.3.1.1.  ボトルネックの特定
      2. 3.3.2.2. 定量的データの分析
      3. 3.3.3.3. 定性的データの分析
      4. 3.3.4.4. 改善策の立案
  4. 4.業務プロセスを可視化して、絶え間ない改善を実現しましょう
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As isと業務可視化の違いとは

As isと業務可視化は、業務プロセスの分析や改善において密接に関連する概念ですが、それぞれ異なる役割を持ちます。As isとは実際に行われている業務の流れや手順、そこに存在する問題点や非効率な部分など、現在の業務すべての状態を表す概念です。組織の現在の状態を正確に把握し、問題点や非効率な部分を特定するための前提となります。一方、業務可視化はAs isで示された状態を具体的かつ明確にするべく、業務プロセス全体を視覚的に表現し、関係者が容易に理解できるよう見える化することを指します。フローチャートなどを用いて、業務の流れや関係性を図示することによって得られた全体像は、組織の戦略立案や意思決定、リソース最適化などに活用されることが多く、より長期的かつ戦略的な視点を提供します。

業務可視化のメリット

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業務の理解と分析の向上

業務可視化は、業務プロセスの全体像を俯瞰的に理解するのに役立ちます。視覚的な表現を用いることで、どの部分でボトルネックが発生しているのかを特定しやすくなります。例えば、製造業においては、生産ラインの各ステップを可視化することで、どの工程で時間がかかっているのかを明確にし、改善策を講じることができます。

効率化と生産性向上

プロセスの非効率な部分を特定し、改善することで、全体の効率化と生産性の向上が図れます。さらに、リソースを最適に配置することで、業務全体のパフォーマンスが向上します。例えばある宿泊業者では、チェックイン・チェックアウトに要する時間が長く、顧客から不満の声が寄せられていたことを踏まえ、チェックイン・チェックアウトのプロセスを分解して詳細にフローチャートで可視化しました。その結果、チェックイン時の情報入力に多くの時間がかかっていることが判明し、入力情報の簡略化やオンラインによる事前チェックインの手続きを導入、時間の大幅な短縮を実現しました。このように業務プロセスを可視化することで、ボトルネックとなる非効率なプロセスを発見し、効果的な改善が可能になります。

リスク管理

業務プロセスの可視化により、潜在的なリスクを発見し、事前に対策を講じることが可能です。また、透明性の向上、トレーニングの効果的な実施、監査の効率化、リスク管理の強化といった効果を期待できることから、コンプライアンスの強化にも役立ちます。例えば金融業界では、取引プロセスを可視化することで不正取引の早期発見と防止が可能になります。さらにリスク管理の観点からは、定期的な業務プロセスのレビューと更新が重要です。業務環境の変化に対応し、常に最新のプロセスを維持することで、リスクを最小限に抑えることができます。

顧客満足度の向上

業務可視化により、サービス品質が向上し、顧客からの問い合わせや問題に迅速に対応できるようになります。例えば、コールセンターでは、オペレーターの対応プロセスを可視化し、トレーニングや改善を行うことで、顧客満足度を向上させることができます。さらに、顧客のフィードバックを収集し、可視化された業務プロセスに反映させることで、サービスの改善サイクルを迅速化できます。顧客のニーズに迅速に対応し、競争力を維持するための重要な手段となります。

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業務可視化の具体的な方法

業務フローをドキュメント化し、フローチャートやプロセスマッピングを用いて現状を明確にします。具体的には、以下の手順で進めます。

業務プロセスの洗い出し

業務プロセスの洗い出しは、現状の業務を詳細に把握し、誰の目から見ても理解しやすくかみ砕いていくためのプロセスです。以下の手順で進めると効果的です。

1. 主要なプロセスの特定

まず組織全体の業務の中で主要なプロセスを特定します。これは、業務の核となる部分や、特に改善が必要な部分を見つけ出すことを目的としています。具体的には、以下のような方法があります。

  • 部門ごとのヒアリング:各部門の責任者やキーパーソンにインタビューを行い、重要なプロセスを洗い出します。
  • 業務ドキュメントのレビュー:既存の業務マニュアルや手順書を確認し、主要なプロセスをリストアップします。

2. 各ステップの詳細な記録

次に、特定した主要なプロセスについて、各ステップを詳細に記録します。この段階では、以下の点に注意します。

  • 具体的な作業内容:各ステップで具体的に何が行われるのかを明確にします。
  • 担当者:各ステップの担当者や関係者を特定します。
  • 使用ツールやシステム:各ステップで使用するツールやシステムを記録します。
  • 所要時間:各ステップの所要時間を把握します。

3. データ収集方法の決定

業務プロセスの洗い出しには、信頼性の高いデータ収集が不可欠です。以下の方法を組み合わせて使用します。

  • インタビュー:担当者に直接インタビューを行い、詳細な情報を収集します。
  • アンケート調査:広範な情報を収集するためにアンケートを実施します。
  • 現場観察:実際の作業現場を観察し、プロセスを確認します。

フローチャートの作成

フローチャートは、業務プロセスを視覚的に示すためのツールであり、以下の手順で作成します。

1. フローチャートの目的と範囲の設定

まず、フローチャートの目的と範囲を明確にします。これにより、作成するフローチャートの内容が的確になります。

  • 目的:業務プロセスの改善、教育・トレーニング用、コミュニケーションの促進など。
  • 範囲:どの業務プロセスを対象とするか、どの程度の詳細度で描くかを決定します。

2. フローチャートの基本構造の決定

次に、フローチャートの基本構造を決定します。一般的には、以下の要素を含めます:  
開始と終了:プロセスの開始点と終了点を明示します。

  • ステップ:各作業ステップを四角形で表し、ステップごとの作業内容を記入します。
  • 分岐点:条件分岐がある場合は、菱形で表し、条件を記入します。
  • 矢印:ステップ間の流れを矢印で示します。

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3.  フローチャート作成ツールの選定

フローチャート作成には、以下のような方法があります。

  • 手書き:簡単なフローチャートを作成する場合は、手書きでも問題ありません。
  • プレゼンテーションソフト:Microsoft Powerpoint、Google プレゼンテーションなどのプレゼンテーションソフトには、あらかじめフローチャートの作成に便利な図形が用意されています。
  • ソフトウェア:Microsoft Visio、Lucidchart、Draw.ioなどのフローチャート作成に適したツールを使用します。

4. フローチャートの描画とレビュー

実際にフローチャートを描画し、関係者とレビューを行います。

  • 描画:各ステップを順番に描き、プロセス全体の流れを視覚化します。
  • レビュー:フローチャートを関係者と共有し、内容の確認とフィードバックを得ます。必要に応じて修正を行い、最終版を作成します。

現状の分析

現状の分析は、可視化された業務プロセスを基に、現状の問題点や改善点を明確にするプロセスです。

1.  ボトルネックの特定

フローチャートを用いて、業務プロセスの中でボトルネックとなっている部分を特定します。以下の点に注目します。

  • 遅延の発生:どのステップで時間がかかっているのかを確認します。
  • エラーの多発:どのステップでエラーやミスが多発しているのかを確認します。
  • リソースの過不足:どのステップでリソースが不足している、または過剰であるのかを確認します。

2. 定量的データの分析

定量的なデータを用いて、業務プロセスの効率や効果を分析します。以下の指標を使用します。
KPI(主要業績評価指標):業務プロセスのパフォーマンスを評価するための指標を設定し、現状のパフォーマンスを測定します。
サイクルタイム:各プロセスのサイクルタイムを測定し、プロセス全体の効率を評価します。
エラー率:各プロセスのエラー率を測定し、品質の問題を特定します。

3. 定性的データの分析

定性的なデータを用いて、業務プロセスの改善点を特定します。以下の方法を使用します:

  • インタビュー:業務プロセスに関与する従業員にインタビューを行い、現状の問題点や改善点を収集します。
  • 観察:実際の業務プロセスを観察し、現場で発生する問題や非効率な部分を確認します。
  • フィードバック:従業員からのフィードバックを収集し、現状の問題点を明確にします。

4. 改善策の立案

分析結果に基づき、現状の業務プロセスを改善するための具体的な策を立案します。以下のアプローチを考慮します。

  • プロセスの再設計:非効率なステップを削除または統合し、プロセス全体の効率を向上させます。
  • 自動化の導入:手作業が多いステップに対して自動化ツールを導入し、効率化を図ります。
  • トレーニングの強化:エラーが多発するステップに対して、従業員のトレーニングを強化し、品質の向上を図ります。

ここまで、業務プロセスの洗い出し、フローチャートの作成、現状の分析についてさらに詳しく説明しました。それぞれのステップを丁寧に進めることで、業務の可視化と改善が効果的に行えます。

業務プロセスを可視化して、絶え間ない改善を実現しましょう

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業務可視化は、現状の把握と改善に欠かせない重要な手法です。業務プロセスの可視化により、組織全体の効率化、リスク管理、顧客満足度の向上が期待できます。継続的に業務可視化を推進し、To beの実現に向けて改善を続けていくことが重要です。

業務プロセスの可視化にお悩みならキューアンドエーの「業務可視化コンサルティング」の活用をご検討ください。業務可視化コンサルティングは業務の可視化だけでなく、プロセス設計、IT活用、標準化・ルール化、継続的改善などTo beへ近づくための業務改革を支援します。

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